2020/21年度主要穀物の生産状況等の調査結果(第5回)を公表(ブラジル)
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は2.月11日、2020/21年度第5回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した(表、図1、2)。この調査は、春播きの夏作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)や秋播きの冬作物(第2期作・第3期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。
トウモロコシ生産量、第2期作の増加により前年度比2.9%増の見込み
2020/21年度(第1〜第3期作)のトウモロコシ生産量は、前回公表より作付面積が増加したため、316万8400トン上方修正され、前年度比2.9%増の1億548万1600トンと前年度を上回り、統計を取り始めて以来最大となった2019/20年度をわずかに上回ると見込まれている。
生産量全体の2割強を占める第1期作は、播種時の降水量不足や不規則な降雨により作業の遅れや作付け後の生育状況に影響がみられた。1月以降は、規則的な降雨に恵まれ生育状況が改善する地域がみられる一方、主産地である南部などでは、多雨による収穫の遅れや病害虫の発生による生産性の低下がみられる。このため全体では、作付面積、単収ともそれぞれ同0.8%減、同7.2%減と前年度を下回り、生産量は同8.0%減の2362万9200トンと見込まれている。また全体の7割強を占める第2期作は、作付面積、単収ともそれぞれ同4.4%増、同2.2%増と前年度を上回り、生産量は同6.7%増の8007万6600トンと前年度をかなりの程度上回ると予想されている。現在、主産地である中西部などでは作付けが行われているが、大豆の収穫作業の遅れや悪天候により作業の遅れが生じている。しかしながら、国内外の需要が強く市場価格が堅調であることから、生産者の作付け意欲が高いとみられる。
大豆の収穫、天候などの影響で作業に遅れ
2020/21年度の大豆作付面積は、堅調な国際価格を背景として引き続き増加傾向で推移し、前年度比3.6%増の3826万6300ヘクタールと見込まれている。生産量は、前回の公表よりわずかに上方修正され、同7.2%増の1億3381万7000トンと前年度をかなりの程度上回っており、前年度の記録を更新し過去最大になると見込まれている。
2020/21年度は、9〜10月の降水量が、大部分の生産地域において過去の平均を大きく下回ったことから播種作業に大きな影響を及ぼし、再播種や一部ではトウモロコシへの作付けの変更が見られた。12月および1月には十分な降雨に恵まれたため状況が回復し、12月末までにはほぼ作付けが完了した。主要な生産地域では現在、収穫作業が行われているが、作付けの遅れに加え収穫時の降雨や日照不足により生育の遅れや収穫作業の遅れが見られる地域がある。
最大の生産州である中西部のマットグロッソ州では、1月末時点の収穫面積が3.8%と前年同期の23.4%に比べて大きく遅れている。
2020/21年度の大豆の需給動向は、過去最大の生産量が見込まれる一方で、最大の輸出先である中国からの旺盛な需要により、輸出量は大幅に増加した2019/20年度には届かないものの、8560万トン以上になると見込まれている。ただし、前述のとおり収穫作業が遅れていることから、2021年1月の輸出量は、前年同月を大幅に下回った。また国内需要も経済成長、輸出向け食肉の増産やバイオディーゼル需要の拡大などにより4500万〜4900万トンの消費量が見込まれることから、期末在庫は今後1年間低水準で推移すると見込まれている。
【井田 俊二 令和3年3月3日発】
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