2021年の穀物生産目標を発表(中国)
中国農業農村部は2021年3月3日、同年における穀物生産目標を発表した。これは2021〜2025年の国家経済計画である「国民経済・社会発展第十四次五カ年計画」に沿ったものであり、トウモロコシの作付面積を前年から約67万ヘクタール(注1)以上拡大させるとともに、大豆生産の安定化も図ることで、穀物の総作付面積を約1億1667万ヘクタール以上とし、6億5000万トン以上の生産量を確保するとしている(表)。
(注1)原文の「ムー」表記をヘクタールに換算(1ムー=0.667アール)。以下同じ。
中国政府は、トウモロコシの余剰在庫解消のため、2016年から、大豆など他品目への作付け転換を奨励してきた(注2)。このため「第十三次五カ年計画」に沿って2016年に定められた「全国農業現代化計画(2016〜2020年)」では、トウモロコシの作付面積を2015年の約3800万ヘクタールから2020年に約3333万ヘクタールに削減する一方、大豆作付面積を2015年の約653万ヘクタールから2020年に約933万ヘクタールに拡大させるとしていた。
こうした中、中国では2019年下半期以降、豚など家畜の増頭により飼料原料であるトウモロコシ需要が急増したことにより、不足する需要分を補うため2020年は過去最高となる1129万トンのトウモロコシを輸入したものの、国産トウモロコシ価格は上昇傾向で推移している。
なお、上記トウモロコシの作付拡大面積(約67万ヘクタール)は、前年度単収を用いて試算すると、約421万トンの生産増に相当する。
(注2)トウモロコシ在庫解消政策については、畜産の情報2017年1月号「中国の飼料需給動向〜穀物政策の変更と資料需給をめぐる現状〜」を参照されたい。
【寺西 梨衣 令和3年3月11日発】
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