米国農務省による世界のトウモロコシ需給予測(2021年3月)
2020/21年度の世界のトウモロコシ期末在庫量、前月予測からわずかに増加し、前年度比5.1%減
2021年3月9日、米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は、2020/21年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表2)。
これによると、2020/21年度の世界のトウモロコシ生産量は、前月から226万トン上方修正され、11億3631万トン(前年度比1.8%増、前月比0.2%増)となった。国別に見ると、メキシコやロシアで下方修正されたが、南アフリカで降雨に恵まれ作付けが順調に進んだことから50万トン上方修正された。また、米国(3億6025万トン、前年度比4.1%増)およびブラジル(1億900万トン、同6.9%増)では、前年度の生産量を上回り、記録的な生産量となることが見込まれている。
輸出量は、世界全体で1億8655万トン(前年度比8.7%増、前月比0.5%増)へわずかに上方修正された。国別に見ると、国際価格の上昇によって価格競争力がついたインドからバングラデシュへの輸出量が増える見込みであることなどから30万トン上方修正された。
輸入量は、世界全体で1億7994万トン(同8.8%増、同0.5%増)へわずかに上方修正された。国別に見ると、バングラデシュにおけるインドからの輸入が増加するなどして20万トン上方修正された。
消費量は、世界全体で11億5177万トン(同1.5%増、同0.1%増)へわずかに上方修正され、生産量を1546万トン上回ることとなった。国別に見ると、インドで80万トン上方修正された。
期末在庫は、世界全体で114万トン上方修正された結果、2億8767万トン(同5.1%減、同0.4%増)と見込まれている。国別に見ると、南アフリカで14万トン上方修正されたが、メキシコで20万トン下方修正されたほか、アルゼンチンにおける2019/20年度の期末在庫(推計値)が今月においても20万トン下方修正されたことを受けて、同量の下方修正がなされた。
2020/21年度の米国トウモロコシ期末在庫率、10.3%と2013/14年度以来の低水準
2021年3月9日、USDA/WAOBは、2020/21年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給予測値を更新した。このうち、米国のトウモロコシ需給見通しは、次の通りである(表3)。
国内生産量は1月以降変更がなく、141億8200万ブッシェル(3億6024万トン(注)、前年度比4.1%増、前月同)と予測された。
国内消費量も同様に変更がなく、飼料など向けが前年度比4.2%減となる一方、食品・種子・その他工業向け(エタノール向けを含む)が同1.4%増となり、全体では120億2500万ブッシェル(3億545万トン、同1.3%減、前月同)と予測された。
輸出量は前月と変わらず、中国向けの輸出量増などが見込まれることから、26億ブッシェル(6604万トン、同46.2%増、前月同)と、記録的な輸出量になることを見込んでいる。
期末在庫も前月と変わらず、15億200万ブッシェル(3815万トン、同21.7%減、前月同)と予測された。その結果、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は10.3%(同3.4ポイント減、前月同)と予測され、干ばつの影響により生産量が大幅に減少したことで期末在庫率が1桁まで低下した2013/14年度以来の低水準となる見通しである。
また、生産者平均販売価格も前月と変わらず、1ブッシェル当たり4.30米ドル(460円。1キログラム当たり18.1円:1米ドル=107円)と予測された。
(注)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。
【水野 崇 令和3年3月30日発】
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