豪州連邦政府のDavid Littleproud農業・干ばつ・緊急事態管理担当大臣は今回の畜産農家の被害について、「洪水で失われた家畜の数は、水が引いた後に評価されるだろう。この評価が得られれば、連邦と州のレベルで、復興の観点から対応を調整することになるだろう。農業者だけでなく、今回の災害で影響を受けた中小企業等にも支援していく。」と述べている。
豪州連邦政府とNSW州政府は、共同で出資を行い、2021年3月31日から、被災した農家に対し、最大で7万5000豪ドル(645万円(1豪ドル=86円)(3月末TTS相場))の洪水復旧支援金の支給を開始した。これに加え、2021年3月の暴風雨や洪水の影響を受けた農家や中小企業を対象に、緊急の支援を必要としている場合は、最大13万豪ドル(1118万円)の低利融資を受けることができる。また、NSW州政府では、緊急洪水対応として、緊急用飼料の供給、動物の評価と獣医師による支援、家畜の安楽死と処分、飼養管理に関するアドバイスなどを行っている。
【参考1】
・豪州連邦政府による被災者への助成(2021年4月14日閲覧)
https://www.servicesaustralia.gov.au/individuals/subjects/new- south-wales-floods-march-2021
・NSW州政府の洪水に関する情報サイト(2021年4月14日閲覧)
https://www.dpi.nsw.gov.au/climate-and-emergencies/floods
なお、現地報道によると、豪州小売大手企業であるウールワース(Woolworths)社は、被災地であるマニング・バレー(Manning Valley)の酪農家に対し、今回の洪水により廃棄等を行った生乳の代金を支払い、酪農家の経営継続を支援するとしている。
【参考2】
畜産農家の被害について触れた現地報道は以下のとおり。
現地報道
・ABC NEWS(2021年3月22日)
NSW州第一次産業省の災害復旧担当官であるSimon Oliver氏によると、「牧草地が浸水してフェンスが水没し、家畜が流されたり水に取り残されたりしている。」と述べている(2021年4月14日閲覧)。
https://www.abc.net.au/news/rural/2021-03-22/nsw-farmers-assess- flood-damage/100020588
・The Guardian(2021年3月23日)
今回の洪水は、NSW州中北部沿岸の農家に大きな打撃を与え、多くの農家が数時間のうちに財産や作物、貴重な家畜を失った(2021年4月14日閲覧)。
https://www.theguardian.com/australia-news/2021/mar/23/a-flood- hit-farmers-lament-for-his-lost-cows-its-the-helplessness-of- hearing-them-bellowing
・ABC NEWS(2021年3月31日)
今般の洪水により、酪農家のPaula Gray氏の乳牛群に大きな影響を与えた。牛が乳房炎になり、すべての牛が歩行不全となっており、牧草地は泥に覆われた(2021年4月14日閲覧)。
https://www.abc.net.au/news/rural/2021-03-31/flood-affected- farmers-say-no-normal-any-more/100037970
・farm online(2021年4月13日)
酪農家のJulian Biega氏は、以前は220頭の牛から1日に約5000リットルのミルクを搾乳していたが、干ばつに続き山火事が発生し、牛群は130頭にまで減少した後、洪水の被害を受けて105頭になった。残った牛のうち、31頭は感染症の治療を受けており、現在、農場の多くが泥に覆われ、未だに立ち入ることができない(2021年4月14日閲覧)。
https://www.farmonline.com.au/story/7206075/how-a-dairy- rebuilds-after-floods/?cs=14138