米国農務省による世界のトウモロコシ需給予測(2021年4月)
2020/21年度の世界のトウモロコシ期末在庫量、前月予測からわずかに下方修正されて前年度比6.3%減
2021年4月9日、米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は、2020/21年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表1)。
これによると、2020/21年度の世界のトウモロコシ生産量は、前月から74万トン上方修正され、11億3705万トン(前年度比1.8%増、前月比0.1%増)となった。国別に見ると、アルゼンチンやインドネシアで下方修正されたが、EUおよび英国で豊作との予測から30万トン上方修正された。また、米国(3億6025万トン、前年度比4.1%増)およびブラジル(1億900万トン、同6.9%増)では、前年度の生産量を上回り、記録的な生産量となることが見込まれている。
輸出量は、世界全体で1億8726万トン(前年度比9.0%増、前月比0.4%増)へわずかに上方修正された。国別に見ると、ブラジルで第二期作トウモロコシの作付遅滞や生育不良などによる単収の減少が予測されたものの、代替供給元として見込まれる米国で191万トン上方修正された。
輸入量は、世界全体で1億7998万トン(同8.8%増、前月並み)となった。国別に見ると、バングラデシュで輸入が増加するなどして10万トン上方修正された。
消費量は、世界全体で11億5619万トン(同1.9%増、同0.4%増)へわずかに上方修正され、生産量を1914万トン上回ることとなった。国別に見ると、ブラジルで50万トン、EUおよび英国で30万トン、それぞれ上方修正された。
期末在庫は、消費量の上積みなどにより世界全体で382万トン下方修正された結果、2億8385万トン(同6.3%減、同1.3%減)と見込まれている。国別に見ると、南アフリカで10万トン下方修正されたほか、アルゼンチンにおける2019/20年度の期末在庫(推計値)が今月において5万トン下方修正されたことを受けて、同量の下方修正がなされた。
2020/21年度の米国トウモロコシ期末在庫率、10%割れ低水準
2021年4月9日、USDA/WAOBは、2020/21年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給予測値を更新した。このうち、米国のトウモロコシ需給見通しは、次の通りである(表2)。
国内生産量は1月以降変更がなく、141億8200万ブッシェル(3億6024万トン(注)、前年度比4.1%増、前月同)と予測された。
国内消費量は、食品・種子・その他工業向け(エタノール向けを含む)が同1.8%増と上方修正され、全体では121億ブッシェル(3億735万トン、同0.7%減、前月比0.6%増)と予測された。
輸出量は、中国向けの輸出量増加などが見込まれることから、26億7500万ブッシェル(6795万トン、同50.4%増、同2.9%増)へわずかに上方修正され、記録的な輸出量になることを見込んでいる。
期末在庫は、国内消費量が上方修正されたことから、13億5200万ブッシェル(3434万トン、同29.5%減、同10.0%減)と予測された。その結果、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は9.2%(同4.5ポイント減、同1.1ポイント減)と予測され、干ばつの影響により生産量が大幅に減少したことで期末在庫率が1桁まで低下した2013/14年度(期末在庫率9.2%)以来の低水準となる見通しである。
また、生産者平均販売価格も前月と変わらず、1ブッシェル当たり4.30米ドル(482円。1キログラム当たり19.0円:1米ドル=112円)と予測された。
(注)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。
【水野 崇 令和3年4月20日発】
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