豪州連邦政府のリトルプラウド農業・干ばつ・緊急事態管理担当相は4月14日、ニュージーランド(NZ)政府が同日付で海上輸送による生体家畜輸出の禁止を発表(注)したことを受け、豪州政府は当該輸出を禁止する予定はないと発表した。同相は、NZの決定はNZの問題であり、豪州政府は、家畜の生体輸出において高水準のアニマルウェルフェアを確保するための法律、規則および基準に自信を持っていると述べた。加えて、生体家畜の輸出と、これによる豪州経済への貢献を引き続き支援するとしている。
NZの決定により、豪州では、特に中国向けの乳用未経産牛の輸出に多大な労力を費やしてきた酪農生産者にとって、今後、より多くの取引を獲得することが期待されている。
豪州家畜輸出業者協議会(Australian Livestock Exporters' Council)は、NZの同業者に同情を示す一方で、豪州とNZの産業では規模、市場動向、規制の面で異なり、豪州の業界が守るべき基準に全幅の信頼を寄せていることを強調した。また、NZの決定が、豪州の生体家畜輸出産業の継続的な成長に与える影響は限定的であるとしている。
現地酪農専門家は、豪州は、NZの生体家畜輸出禁止後の需給ギャップを埋める機会を得たとし、豪州の酪農生産者はアジア向け未経産牛の生体貿易の「特等席」を獲得したと述べている。
なお、NZは日本に輸出していないが、豪州は日本に2020年は1万4533頭輸出している。
(注)詳細は海外情報「2023年までに生体牛の海上輸送輸出を禁止(NZ)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002929.html)を参照されたい。