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2021/22年度のサトウキビ生産量、前年度比3割増の見込み(タイ)

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最終更新日:2021年4月26日

 米国農務省(USDA)は4月14日、タイのサトウキビ生産量に関する年次レポートを公表した。2020/21年度(12月〜翌11月、以下「20/21年度」という。)は、過去最低を記録した2019/20年度よりも少ない6800万トン(前年度比10.5%減)と予測されている(表)。これは、2019年以降の干ばつにより、サトウキビの発芽や分げつの段階で土壌の水分量が著しく低下したことで、収穫面積が大幅に減少(同27.3%減)したことが要因とみられる。 
  一方、2021/22年度(以下「21/22年度」という。)は、作付面積は減少するものの(同9.1%減)、主産地の同国東北部で厳しい干ばつが発生した前年度と比較し、かなり降水量が多かったことでサトウキビが順調に生育し、単収が前年度より上昇する見込みとなっている。その結果、同年度の生産量は9000万トン(同32.4%増)と大幅な回復が見込まれている。なお、20/21年度第 1 四半期のサトウキビ買入価格が前年度同期よりも26%高かったにもかかわらず、作付面積の減少が見込まれる要因としては、価格保証制度(注1)があるためにサトウキビよりも収益性の高いキャッサバへの転作、過去2年間の干ばつ、タイ政府が実施する焼き畑抑制政策(注2)の影響などが考えられる。 

(注1)各農作物の市場価格が、農作物別に設定された政府保証価格を下回った場合に、その差額を補てんするもの。詳細は、2020年5月21日付海外情報「タイ政府、キャッサバ農家への所得補償として追加予算を承認〜新型コロナウイルス感染症拡大による輸出減退などを受け市場価格が低迷〜(タイ)」( https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002702.html)を参照されたい。 
(注2)焼き畑抑制政策の詳細は、砂糖類でん粉情報2019年6月号「タイにおける砂糖産業の動向」(https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_001986.html)を参照されたい。 


 なお、同国では、東北部の一部の県を除き、サトウキビ圧搾汁からのバイオエタノール生産が認められておらず、粗糖と糖みつのみがバイオエタノールの原料として許可されているため、サトウキビのほとんどが砂糖生産に仕向けられている。USDAは、同国の粗糖を原料とするバイオエタノール工場の新設を20/21年度に見据え、サトウキビのバイオエタノール生産への仕向け量は246万トンに増加すると予測していたものの、100万トンにとどまった。これは、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)の発生が機械設備の輸送に支障をきたし、新工場の操業が21/22年度に延期されたことなどによるもので、21/22年度の仕向け量は280万トンと2.8倍の増加を見込んでいる。 
 
表
【塩原 百合子 令和3年4月26日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9532