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新型コロナウイルス感染症の再拡大を受けて、製糖工場で医療用酸素生産に向けた動きが加速(インド)

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最終更新日:2021年5月11日

 5月5日の現地報道によると、インドの主要な砂糖生産地であるマハラシュトラ州では、砂糖生産が終盤を迎える中、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)の患者の治療に必要な医療用酸素の需要を満たすため、約70の製糖工場で酸素生産に向けた対応が進んでいると報じられている。具体的には、これらの工場内のエタノール生産設備において、酸素生産を可能にする改造や酸素生産設備の新設、生産関連機器の発注などが行われている。

 インド保健・家庭福祉省の最新統計(5月6日付け)では、同国のCOVID-19感染者数は2108万人を突破し、感染者数の最も多い同州では488万人と全体の23.2%を占めている。インドでは現在も、一日の新規感染者数が40万人を超えるハイペースで増加しており、医療用酸素の不足が国内各地で深刻な問題となっている。

 全国協同組合砂糖工場連盟(NFCSF)の代表は、すでに同州の25工場が医療用酸素生産設備の設置を進めており、製糖工場が位置する農村部の酸素需要を満たすことができると述べ、他地域の製糖工場でも同様の取り組みを検討しているとした。また、西インド製糖協会(WISMA)は、全国の製糖工場に対し、各地域の酸素需要をまかなうために酸素生産設備を設置するよう呼び掛けている。

 インド製糖協会(ISMA)によると、同州では4月末時点で167工場が今期のサトウキビの圧搾を終了し、残りの23工場も5月中には操業を終えるとみられる。なお、同国の2020年10月〜翌4月末の砂糖生産量は2991万5000トンで前年同期より41万トン増加したが、4月末時点で操業中の製糖工場数は前年同期の112工場からわずかに減少し106工場となっている。
 
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【塩原 百合子 令和3年5月11日発】
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