2021年1〜4月のキャッサバ製品輸出量、前年同期比で大幅に増加 (カンボジア)
最終更新日:2021年5月19日
カンボジア農林水産省によると、2021年1〜4月のキャッサバ製品輸出量は150万トンを超え、前年同期の130万トンを大きく上回った(表)。
輸出量を品目別に見ると、でん粉原料用としてタイやベトナムに仕向けられているキャッサバの生芋は30万7750トン(前年同期比7.0%減)、キャッサバパルプは3122トン(同34.3%減)とともに減少した。一方、エタノール原料として中国に仕向けられているキャッサバチップは117万7003トン(同25.5%増)、中国、イタリアおよびオランダへ主に仕向けられているタピオカでん粉は1万3284トン(同42.8%増)とともに大幅に増加した。
同国政府は、原料としてのキャッサバを重要な輸出品目と位置づける中、「キャッサバに関する国家政策(2020−2025)」(注)を通じ、タピオカでん粉など付加価値のあるキャッサバ製品の生産・輸出の増加を目指しており、今後の輸出動向も注目される。
(注)同国農林水産省、商務省および国連開発計画(UNDP)による政策。詳細は、令和3年2月19日付海外情報「キャッサバに関する国家政策(2020−2025)を発表(カンボジア)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002886.html)を参照されたい。
2020年のキャッサバの生産動向
調査会社AgroMonitorによると、2020年のカンボジアのキャッサバ作付面積は、トウモロコシやサトウキビからの転作が進んだため、前年の50万ヘクタールから増加すると予測されている。
しかし、同年のキャッサバ生産量は、主産地の一つであるパンテイメンチェイ州やウドンメンチェイ州など同国北西部タイ国境に位置する州を中心に減少が見込まれている(図)。これは、従前より発生しているキャッサバモザイク病(注)の影響に加え、2020年9〜10月にかけて現地で発生した洪水により、収穫や流通に大きな被害が発生したことが要因として挙げられ、最大のキャッサバ生産地である同国西部のバッタンバン州では、農地の8割で洪水の被害を受けたと報告されている。
(注)ウイルスの感染によって葉に黄化斑ができる病気で、光合成が十分に行われず、最終的には作物自体が枯れてしまうことから、収穫量が大幅に減少する。同国のほかに、近隣国のタイやベトナムの一部でも流行が確認されている。
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