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2020/21年度主要穀物の生産状況等の調査結果(第8回)を公表(ブラジル)

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 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は5月12日、2020/21年度第7回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した(表、図1、2)。この調査は、春播きの夏作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)や秋播きの冬作物(第2期作・第3期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。

トウモロコシ第2期作、播種遅れや天候の影響で生産量を下方修正

 2020/21年度(第1〜第3期作)のトウモロコシ生産量は、第2期作を中心に前回より255万2100トン下方修正され、前年度比3.7%増の1億641万3500トンと、2019/20年度をやや上回ると見込まれている。トウモロコシ生産は、国内外の需要が強く市場価格が堅調であることから生産者の作付け意欲が強い状況となっている。
 生産量全体の2割強を占める第1期作は、一部を除き主産地での収穫がほぼ終了し、今回わずかに上方修正されたものの、同3.9%減の2467万6800トンと前年度をやや下回ると見込まれている。作付面積は同2.4%増と前年度を上回ったものの、降水量不足や不規則な降雨により播種の遅れやその後の不規則な天候が生育状況に影響を及ぼしたことで、単収が同6.2%減と前年度をかなりの程度下回った。主産地の一つである南部地域のパラナ州やサンタカタリーナ州では、不規則な天候に加え病害虫発生の影響により単収が前年を大幅に下回ると見込まれている。また全体の7割強を占める第2期作は、前回より280万8700トン下方修正されたものの、同6.3%増の7979万9400トンと前年度をかなりの程度上回ると見込まれている。第2期作の播種は、天候の影響で大豆の収穫作業がずれ込んだ影響で大幅に遅れたため、作付面積の約35%が播種適期から遅れて行われる事態となった。特に5月は、最終的な収穫量に影響を及ぼす重要な時期に位置付けられており、ラニーニャ現象が発生する可能性があることから、降水量不足などその影響が懸念されている。最大の生産地である中西部のマットグロッソ州では、作付面積の約4割の地域で播種適期とされる2月末を以降に播種が行われた。このため、単収は同2.8%減と前年度を下回る一方、作付面積は同7.5%増と前年度をかなりの程度上回ることで、生産量は同4.5%増の3615万4900トンと見込まれている。また全体の2%程度を占める第3期作は、5月に播種が開始される。

大豆生産量、南部を中心に増加し過去最大となる見込み

 2020/21年度の大豆生産量は、今回わずかに下方修正されたものの、作付面積、単収ともに増加することで、前年度比8.5%増の1億3540万8800トンと前年度の記録を更新し過去最大になると見込まれている。
 2020/21年度は、主産地において9〜10月の降水量不足による播種の大幅な遅れに加え、その後の日照不足により生育が遅れ、さらに収穫期の降雨により収穫が大幅に遅れた。収穫は、南部地域のリオグランデドスル州で5月前半までに終了する見込みとなっており、これにより主要生産州の収穫は終了するとみられる。地域別に見ると、最大の生産地域である中西部のマットグロッソ州では、4月前半に収穫が終了した。同州では、生育期初期の降水量不足や不規則な天候、また成熟期の多雨により北部および北東部の一部において種子の水分含量が高く品質が低下するなど天候の影響を受けたものの、生産量は同0.2%増の3594万7300トンと前年並みになると見込まれている。一方、中西部に次ぐ生産地域である南部を見ると、天候の影響で前年度より単収が1割程度落ち込むパラナ州を除き、各州とも生産量が前年度を大幅に上回ると見込まれている。特に前年度、干ばつの影響で生産量が大きく落ち込んだリオグランデドスル州は、2〜3月の干ばつの影響により一部作物で生産性に影響が見られたものの、全体的に高水準の単収を維持し、同76.2%増の2016万3800トンと大幅な回復が見込まれている。
表
図1
図2
参考
【井田 俊二 令和3年5月20日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9472