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畜産物の輸出額が減少、中国向けの輸出割合が伸長(NZ)

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ニュージーランド(NZ)統計局は2021年6月2日、2020年4月から2021年3月までの輸出総額(NZ国内における旅行者等の消費およびNZへの物品、人の輸送に関する収益を含む)が、前年同期に比べ16.5%減少したと発表した。
NZ統計局は、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の影響で旅行・輸送サービスが劇的に落ち込んだことを減少の要因としつつも、これまで好調であった乳製品や食肉等(内臓を含む)の輸出額がやや減少したことも影響したとしている。乳製品の輸出額は、前年同期比3.1%減の160億4199万NZドル(1兆2994億119万円:1NZドル=81円)、食肉等の輸出額は同4.8%減の78億9986万NZドル(6398億8866万円)であった。
図1 NZの主な輸出商品・サービスの輸出額
また、NZ統計局は、中国向け輸出が輸出額全体の23%を占める中、「対EUが貿易赤字となったにもかかわらず、対中国の貿易黒字が牽引した結果、2020年4月から2021年3月までの貿易収支は23億NZドル(1863億円)の黒字となった」と公表した。
2020年4月から2021年3月までの輸出額について、前年同期から増加した中国向けの主な輸出品目を見ると、木材が29億3950万NZドル(2380億9960万円)、乳製品が59億4216万NZドル(4813億1488万円)となり、それぞれの品目の輸出額全体に占める中国向けの割合も増加している。なお、食肉等の中国向けの輸出額は、32億6996万NZドル(2648億6708万円)とほぼ前年同期並みであったものの、輸出額全体に占める中国の割合は増加している(図2)。これに対し、NZ統計局が「中国はNZの木材、食肉、乳製品の強力な輸出市場であり続けている」とコメントするなど、コロナ禍においてもNZ貿易における中国の存在感が増していることが伺える。
一方、現地報道によると、NZ政府のナナイア・マフタ外務大臣はマスコミ取材に対し、輸出業者は輸出先の多角化を図る必要性があるとコメントするなど、NZ国内では、中国への貿易依存が高まることへの懸念も生じている。
図2 畜産物の輸出に占める中国の割合
【阿南 小有里 令和3年6月7日発】
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