EUと米国、航空機補助金を巡る追加関税措置の停止を合意(EU)
欧州委員会は6月15日、17年近く続いてきた航空大手エアバス社とボーイング社に対する補助金を巡る貿易紛争の解決に向けて、双方が適用している追加関税措置を5年間停止することに合意したと発表した。これは、欧州を歴訪中のアメリカのバイデン大統領とEUのフォンデアライエン委員長らとの会談結果によるものである。
EUと米国の間では、今年3月5日に4カ月間の期限付きで追加関税措置を一時停止することで合意されていたが、その後の扱いについては未確定とされていた。
欧州委員会は、双方の追加関税措置により、5年間で115億ドル(1兆2765億円、1米ドル=111円)規模の貿易取引に影響が生じ、2019年〜2020年の間、双方の産業界は合わせて33億ドル(3663億円)の追加関税を支払うことを余儀なくされたとしている。特にEU酪農乳業業界にとっては、航空機にかかる紛争に巻き込まれた形で、EUが米国に輸出する乳製品に対して25%の追加関税が課せられていたことから、強い不満となっていた。
このため、今回の合意について、EUの酪農乳業関連団体から歓迎する声明が出されている。
欧州乳製品輸出入・販売業者連合(EUCOLAIT)は同日付で、最大の輸出先国である米国へのチーズの輸出量が2020年は前年比10%減、2021年第1四半期はさらに減少したと言及しつつ、追加関税措置を5年間停止することに合意したことを歓迎するとの声明を発表した。
また、欧州農業組織委員会・欧州農業協同組合委員会(COPA-COGECA)も同日付で、この合意は特に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響から回復するために極めて重要と評価している。
両団体とも、EUおよび米国がこの5年間の追加関税措置の停止期間中に恒久的な解決に向け、さらなる合意に至ることへの期待を表明している。
【調査情報部 令和3年6月18日発】
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