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英豪FTAが合意(その1:英国側の反応)

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 英国政府は2021年6月15日、英国のジョンソン首相がG7コーンウォール・サミットに招待され英国を訪問中の豪州のモリソン首相とロンドンで会談し、両国間の自由貿易協定(FTA)に合意したと発表した。

 英国政府は、豪州とのFTA合意は英国のEU離脱(Brexit)後、(EUと第三国の貿易協定を下敷きにしたものでなく、)ゼロから交渉した最初の主要なFTAであるとしている。正式な合意内容については数日内に公表される予定であり、英国議会はその合意内容の他、同時に提出される影響力調査の結果や解説資料を基に審議を行う予定としている。

 英国政府のトラス国際貿易大臣の談話として、英国の全ての物品について豪州での関税が撤廃されると述べ、この合意がGDPで9兆ポンド(1440兆円:1ポンド=160円)規模となる包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)への参加のための道を開くとの期待感を表した。

 英国から豪州への輸出が期待される品目として、自動車、スコッチウィスキー、ビスケット、セラミック類、鉱山用機械などが挙げられている。一方、豪州から英国への輸出に関しては、関税撤廃の詳細については現時点で不明であるものの(注)、英国の農業生産者は関税割当数量の設定、各種セーフガード措置により、FTA発効から15年間は関税撤廃から守られるとされている。
(注):豪州連邦政府の発表では、本FTAの発行後、豪州製品の最大99%の品目が英国 に無税で輸出できることになり、牛肉、羊肉は10年、砂糖は8年、乳製品は5年で関税が段階的に撤廃されるとしている。
 
 なお、英国の全国農業者組合(NFU)は以前より、FTAによる関税撤廃は、英国内の肉牛農家や羊農家に大きな影響があると懸念を表明していた。また、同組合は今回の発表を受け同日付けで、合意内容の詳細を知ることが必要だとしながらも、動物福祉や環境規制に言及されていない点について懸念を表明するプレスリリースを公表している。また、英国政府に対し、合意内容の詳細について関連産業界と協議すること、国内政策によって持続可能な農業を支援することなどを求めている。
【調査情報部 令和3年6月18日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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