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サトウキビなどの2020/21年度生産実績、2021/22年度生産見通しを公表(ブラジル)

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最終更新日:2021年6月23日

2020/21年度の砂糖生産量および輸出量は大幅に増加

 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は5月18日、2020/21年度(4月〜翌3月)第4回サトウキビ生産状況等調査結果報告を公表した。同調査は、同年度におけるサトウキビ、砂糖およびエタノールの生産予測を年4回公表するものであり、今回が最終報告となる。
 これによると、サトウキビの収穫面積は862万ヘクタール(前年度比2.1%増)とわずかに増加した(図1)。このうち、中南部の収穫面積は772万ヘクタール(同2.2%増)、北東部は同90万ヘクタール(同0.6%増)であった。
 サトウキビ生産量は、収穫面積の増加により6億5453万トン(同1.8%増)とわずかに増加した。1ヘクタール当たりの収量は、2020年4〜10月にかけての乾燥気候の影響を受けて76.0トン(同0.2%減)とわずかに減少した。
 サトウキビを原料とする砂糖、エタノールの生産状況を見ると、砂糖生産量は4125万トン(同38.5%増)と大幅に増加したのに対し、サトウキビ由来のエタノール生産量は2975万キロリットル(同12.5%減)とかなり大きく減少した(図2、3)。これは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による国内のエタノール需要の落ち込みや、世界有数の砂糖輸出国であるタイでの不作を背景とした国際砂糖価格の上昇から、製糖企業がサトウキビの砂糖への仕向け割合を増加させたことによる。なお、エタノール生産量のうち、無水エタノールは932万キロリットル(同7.9%減)とかなりの程度減少し、含水エタノールは2042万キロリットル(同14.5%減)とかなり大きく減少した(注)
 
(注)自動車の燃料として用いられるエタノールには、含水と無水の2種類がある。含水エタノールは製造段階で蒸留した際に生じる水分を5%程度含み、フレックス車(ガソリンとエタノールいずれも燃料に利用できる自動車)でそのまま燃料として利用される。一方、無水エタノールは含水エタノールから水分を取り除きアルコール100%としたもので、ガソリンに混合して一般的な車両などに利用される。
 
 同国経済省のデータによると、砂糖生産量の増加を受けて同年度の砂糖輸出量は約3220万トン(同69.8%増)と大幅に増加し、過去最多を記録した(図4)。この要因についてCONABは、国際砂糖価格が製糖業者にとって高水準であったこと、ブラジルレアルが米ドルに対して安値で推移したこと、COVID‐19の持続的拡大による景気低迷や人の移動制限などのCOVID‐19拡大抑制策を背景としたエタノール需要の落ち込みなどを挙げている。

2021/22年度の砂糖生産量はやや減少の見込み

 同日にCONABは、2021/22年度の第1回生産見通しも併せて公表した。これによると、サトウキビの作付面積は、大豆やトウモロコシなど、より収益性の高い作物への転作が進むことで、842万ヘクタール(前年度比2.2%減)とわずかに減少すると見込まれる。このうち、中南部の収穫面積は753万ヘクタール(同2.4%減)、北東部も微減ながらも同0.5%減の同89万ヘクタールと更なる減少が見込まれる。
 サトウキビ生産量は、収穫面積の減少に加え、干ばつや高温といった気候要因により1ヘクタール当たりの収量が74.6トン(同1.8%減)と減少することで、6億2814万トン(同4.0%減)とやや減少が見込まれる。
 砂糖生産量は、原料となるサトウキビの減産見込みを踏まえ3890万トン(同5.7%減)とやや減少が見込まれる。
 サトウキビ由来のエタノール生産量は、2703万キロリットル(同9.1%減)とかなりの程度の減少が見込まれる。業界関係者の間では、人の移動制限などCOVID‐19の拡大抑制策の延長による燃料消費量の減少が懸念されているという。
図1
図2
図3
図4
【塩原 百合子 令和3年6月23日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9532