2020/21年度主要穀物の生産状況等の調査結果(第9回)を公表(ブラジル)
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は6月10日、2020/21年度第9回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した(表、図1、2)。この調査は、春播きの夏作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)や秋播きの冬作物(第2期作・第3期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。
トウモロコシ生産量、天候などの影響で前月までの増産予測から一転して前年度を下回る見込み
2020/21年度(第1〜第3期作)のトウモロコシ生産量は、第2、第3期作で減少し前回より956万6800トン下方修正され、前年度比6.0%減の9639万2100トンと、前月までの増産予測から一転して前年度をかなり下回ると見込まれている。国内外の需要が強く堅調な市場価格を背景として作付面積が同7.1%増と前年度をかなり上回るものの、降水量不足などの影響で単収が同12.3%減とかなり大きく減少することが見込まれるためである。
生産量全体の約4分の1を占める第1期作は、北東部などの一部を除き主産地での収穫がほぼ終了し、今回わずかに上方修正され、同3.8%減の2471万7600トンと前年度をやや下回ると見込まれている。これは、作付面積が同3.0%増となったものの、播種時の降水量不足や不規則な降雨による播種の遅れ、その後の不規則な天候が生育状況に影響を及ぼした結果、単収が同6.6%減となったためである。また、全体の約4分の3を占める第2期作は、984万2400トン減(前回比12.3%減)とかなり大きく下方修正された。生産量は前回に続き下方修正された結果、同6.8%減の6995万7000トンと前月までの増産予測から一転して前年度を下回ると見込まれている。播種作業は、天候の影響で作業が大幅に遅れたため、多くの農地で播種適期より遅れて行われた。さらに播種後の3〜5月は、中西部や南部の主産地において極度の降水量不足となったことが今回の大きな下方修正につながったとみられる。主産地の一つである南部のパラナ州では、3〜4月にほとんどの地域で降雨がなく、すべての生産地域で生育状況が悪化し単収が減少すると見込まれている。さらに同州の一部では、低温による凍結や害虫の影響も報告されている。また、生産量全体の2%程度を占め4月から播種が行われている第3期作についても、天候の影響により22万トン(前回比11.4%減)とかなりの程度下方修正され、生産量は同6.9%減の171万7300トンと見込まれている。
大豆生産量、前年度比8.8%増と過去最大を更新する見込み
2020/21年度の大豆生産量は45万2200トン上方修正され、前年度比8.8%増の1億3586万1000トンと前年度の記録を更新し過去最大になると見込まれている。作付面積(同4.2%増)、単収(同4.4%増)のいずれも前年度の実績を上回った。
2020/21年度は、主産地において9〜10月の降水量不足による播種の大幅な遅れや、その後の日照不足による生育の遅れ、さらに収穫期の降雨により収穫が大幅に遅れた。主産地での収穫作業は、南部のリオグランデドスル州が5月に終了し、その他北部および北東部の一部地域で収穫が行われている。地域別に見ると、最大の生産地である中西部では、作付面積は増えたものの天候の影響で単収が前年度を下回ったことから、同1.0%増の6132万1700トンとわずかに増加すると見込まれている。一方、中西部に次ぐ南部では、天候の影響で前年度より生産量が同8.0%減となるパラナ州を除き各州とも生産量が前年度を上回り、同21.9%増の4303万1500トンと過去最大になると見込まれている。
【井田 俊二 令和3年6月23日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9472