米国農務省による世界のトウモロコシ需給予測(2021年6月)
2021/22年度の世界のトウモロコシ生産量、前年度からやや増加する見込み
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2021年6月10日、2021/22年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表1)。
これによると、世界のトウモロコシ生産量は前回と変わらず、11億8985万トン(前年度比5.8%増)と予測された。国別に見るとブラジル(同19.8%増)およびウクライナ(同23.8%増)では記録的な生産増が予測され、米国(同5.7%増)、アルゼンチン(同8.5%増)および中国(同2.8%増)でも過去最高水準に近い生産が見込まれている。
輸出量も前回と変わらず、1億9747万トン(同5.6%増)と予測された。国別に見るとブラジル(同30.3%増)とウクライナ(同32.6%増)で大幅な増加が見込まれるものの、米国(同14.0%減)はこれら輸出国との競合により減少が見込まれている。
輸入量も前回と変わらず、1億8951万トン(同3.0%増)と予測された。国別に見ると、主要輸入国である中国の輸入量は2600万トンと前年度から変わらないものの、引き続き高水準での推移が見込まれている。
消費量は4万トン下方修正されて、11億8104万トン(同2.7%増)と予測されたものの、消費大国であるブラジル(同5.8%増)、米国(同1.2%増)および中国(同1.7%増)などで増加が見込まれている。
期末在庫は、2020/21年度の期末在庫の下方修正に伴い、前月から1.0%減の2億8941万トン(同3.1%増)と見込まれている。
2021/22年度の米国トウモロコシ期末在庫率、9%台の見込み
USDA/WAOBは2021年6月10日、2021/22年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給予測値を更新した。このうち、同国のトウモロコシ需給見通しは次の通りである(表2)。
生産量は前回と変わらず、149億9000万ブッシェル(3億8076万トン(注)、前年度比5.7%増)と予測されており、これまでの統計で最も生産量の多かった2016/17年度の151億4800万ブッシェル(3億8477万トン)をわずかに下回る過去2番目の水準となっている。
消費量も前回と変わらず、123億1500万ブッシェル(3億1281万トン、同1.2%増)と予測された。
輸出量も前回と変わらず、ロシア産やウクライナ産との競合によって米国産のシェアが縮小し、24億5000万ブッシェル(6223万トン、同14.0%減)と記録的な輸出量となった前年度からかなり大きく減少すると予測された。
期末在庫は、2020/21年度の国内消費量のうちエタノール向け(新型コロナウイルス感染症〈COVID−19〉の感染拡大前の水準まで需要が回復)と輸出量が上方修正されたことに伴い、2021/22年度の期首在庫が下方修正されたため、前月から10.0%減の13億5700万ブッシェル(3447万トン、同22.6%増)と予測された。その結果、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は前月から1.0ポイント減の9.2%(同1.8ポイント増)となった。
また、生産者平均販売価格は前回と変わらず、1ブッシェル当たり5.70米ドル(633円。1キログラム当たり24.9円:1米ドル=111円)と予測された。
(注)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。
【荒川 侑子 令和3年6月29日発】
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