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英国政府、日本向け家きん肉輸出解禁による経済効果を期待

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 英国政府は6月16日、英国産家きん肉等の日本向け輸出が初めて解禁となったことを発表した。今回の輸出解禁は、過去4年間に渡る両国間の交渉の末に合意したものとなる。ただし、同国における鳥インフルエンザの発生により、一部の州については、引き続き、輸入停止措置の対象となっている(注)。
(注)動物検疫所HP「英国から日本向けに輸出される家きん肉等の一時輸入停止措置について」を参照されたい。

 英国政府は、今回の解禁により英国の生産者、輸出業者が新たな輸出機会を得るとともに、鶏肉業界の見積もりによると年間で最大1300万ポンド(約21億円、1ポンド=160円)の価値を生み出すとした。また、食品管理と輸入管理体制が厳しいことで知られる日本の市場で英国産家きん肉が解禁となったことは、英国の生産方法の水準の高さを示しているとした。さらに、日本では鶏肉の消費量が増加しており(図)、日本が英国の鶏肉輸出業者にとって新たな重要かつ有望な輸出先となるとした。
図 日本の肉類消費量の推移
 今回の発表の中で環境・食料・農村地域省のプレンティス食料担当政務次官は、「英国産家きん肉は、その美味しさと同時に、英国の生産者が示す食品安全と動物福祉の水準の高さで世界中に知られている。私たちは、農産品部門のために新たな市場を開拓するために努力しているが、日本への輸出解禁は英国の鶏肉部門にとって大きなチャンスである」としている。
 また、同じく英国の食肉輸出入関係者で構成する国際食肉輸出入協会(IMTA)のドハティ最高経営責任者(CEO)は、「今回の合意により、英国の(鶏肉)輸出業者が2021年1月1日に発効した英日包括的経済連携協定(EPA)による関税引き下げの恩恵を受けられるようになる。英日EPAでは、日本における家きん肉に対する関税は協定発効から最長で9年目に撤廃されることとなっており、今回の合意がなければ、英国の輸出業者は、関税削減の恩恵を受けることができなかった」としている。

 なお、英国政府の分析によると、英日EPAは、英国が日本とのEPAを締結していなかった場合と比較して、長期的には英国経済を15億ポンド(2400億円)押し上げ、英国の労働者の賃金を8億ポンド(1280億円)増加させる可能性があるとしている。
【小林 智也 令和3年6月29日発】
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