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航空機補助金を巡る米国との追加関税措置の停止を合意(英国)

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 英国政府は6月17日、航空大手エアバス社とボーイング社に対する補助金を巡る米国との貿易紛争の解決に向け、双方が適用している追加関税措置を5年間停止することに合意したと発表した。これは、6月16日にロンドンで行われた英国政府のトラス国際貿易大臣と米国通商代表部(USTR)のタイ代表との会談結果によるものである。

 なお、既にEUと米国は、6月15日に航空機補助金を巡る追加関税措置の停止に合意している(注)。
(注)海外情報「EUと米国、航空機補助金を巡る追加関税措置の停止を合意(EU)」

 英国政府は、米国との航空補助金を巡る貿易紛争を鎮静化させるために、今年初めに米国への報復関税を一方的に停止する決定を下しており、このことが、双方がより長期的な視点での交渉を行うことが可能となったと同時に、今年3月からの4カ月間の関税停止の合意を促したとしている。トラス国際貿易大臣は、「英国が独立した貿易国となった今年初めに(米国との)貿易紛争を鎮静化させるための決定を行った。今回の合意により、この貿易紛争に終止符が打たれ、英国は米国との貿易関係を次のステージへ引き上げることに注力出来るようになった。」とした。

 英国農業園芸開発公社(AHDB)によると、航空機補助金を巡る追加関税措置により影響を受けた農畜産物として、豚肉と乳製品を挙げている。米国向けの豚肉は、2019年の輸出額が3200万ポンド(51億2000万円、1ポンド=160円)を超えたが、2020年は前年比43%減の1900万ポンド(30億4000万円)と大幅に落ち込んだ。また、乳製品では、米国は有機チーズの重要な輸出市場であり、2019年の輸出額は5400万ポンド(86億4000万円)を超えたが、2020年は同20%減の4400万ポンド(70億4000万円)となった。また、バターも同様に2019年の輸出額700万ポンド(11億2000万円)に対し、2020年は同27%減の500万ポンド(8億円)に落ち込むなど、追加関税措置の影響が及んでいるとした。
【小林 智也 令和3年6月29日発】
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