欧州清涼飲料水協会、糖類添加量の新たな削減目標を発表(EU)
最終更新日:2021年7月13日
欧州清涼飲料水協会(UNESDA)(注)は6月29日、EUおよび英国で製造される清涼飲料水の平均的な糖類添加量を2025年までに2019年比で10%削減すると発表した。同協会は過去にも糖類添加量の削減目標を発表しており、2000年から2015年にかけて13.3%、2015年から2019年にかけて14.6%の削減を達成している。今回の新たな目標は、消費者の嗜好の変化や公衆衛生に対する期待の高まりを受け、消費者が健康的な選択をより容易に行うための環境づくりであり、この目標が達成されれば、糖類添加量は直近の20年間で33%の削減が見込まれるとされる。現在、欧州の清涼飲料水の売上げに占める無糖または糖類の少ない商品の売上げ割合は24%を超えており、今後さらにその割合が高まる可能性がある。
削減の対象となる飲料は、果実飲料、炭酸飲料、エナジードリンク、スポーツドリンク、アイスティー、アイスコーヒー、フレーバーウォーターなどすべての清涼飲料水とされ、100ミリリットル当たりの平均的なエネルギー量で削減の割合が計算される。また、2019年を基準に設定している理由として、2020年のデータがまだ利用可能でないことと、2020年に新型コロナウイルス感染症が飲料の消費量や消費行動に与えた影響を考慮するため、と説明されている。同協会は具体的な対応策として、(1)既存レシピの変更(糖類の添加量を削減)(2)低カロリーやゼロカロリーの商品を新たに開発(3)摂取量のコントロールが安易な少量の商品数の増加(4)糖類含有量やエネルギー量の少ない商品の宣伝を継続―を挙げている。
また併せて、同協会は広告の基準の変更についても発表した。これまで、同協会に所属する企業は12歳未満の若年層を対象とした清涼飲料水の広告を行ってこなかったが、今後はこれを13歳未満に引き上げる。さらに、視聴者の35%超をこれらの世代が占めるテレビ番組では、清涼飲料水の広告を放映していなかったが、今後はその割合を30%まで引き下げるほか、清涼飲料水の広告を放映しないテレビ番組やチャンネルの範囲を拡大するとしている。
英国のコンサルタント会社であるLMC Internationalによると、欧州各国は国によってばらつきがあるものの、日本と比較して、一人当たり年間砂糖消費量は高水準で推移している(図)。しかし、欧州の飲料業界においては、消費者の健康志向の高まりに伴うニーズの変化に応える動きを見せている状況にある。
(注)欧州連合(EU)加盟国の他、英国、ノルウェー、スイスといったEU域外国を含めた欧州の清涼飲料水製造企業および23の国単位の協会などが加入する非営利団体(アルコールやミネラルウォーターなどの部門は含まない)。欧州委員会に対する意見具申などを行う。
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