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2021年の豚肉輸入量、供給不足で40万トン超の見込み(フィリピン)

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 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は7月2日、2021年のフィリピンの豚肉輸入見込み数量を当初の35万トンから42万5000トンに上方修正した。USDA/FASの報告書によると、2021年1〜4月のフィリピンの豚肉輸入量は19万5300トンとなり、前年同期比401%増と記録的な伸びを示した。主な輸入相手先はEU、カナダ、米国などで、これらの地域や国からの輸入量は、いずれも前年同期比300%を超えている。
 フィリピンでは、アフリカ豚熱の流行により2021年第1四半期の豚肉生産量が前年同期比25.8%減の42万1790トン(図1)、2021年4月1日時点の豚総飼養頭数が同22.6%減の955万頭(図2)といずれも大幅に減少している。フィリピン国内の小売価格(7月13日時点)を見ると、生鮮豚肉(ばら)は1キログラム当たり370ペソ(888円:1ペソ=2.4円)となり、アフリカ豚熱の流行拡大前の2020年同時期と比較して3割を超える上昇となった。同400ペソ(960円)を超えた1月時点よりは下落したものの、いまだに高値で推移している。このような豚肉需給の価格上昇に対処するためフィリピン政府は今年4月、豚肉のミニマム・アクセス数量(MAV)の見直しや税率の引き下げを行っている(注)。
(注)海外情報「豚肉の供給不足から輸入関税を大幅引き下げ(フィリピン)」を参照されたい。
 一方で冷凍豚肉在庫量を見ると、2020年10月以降は減少傾向にあったが、2021年5月に入り急速に増加しており、6月末には歴史的な高水準とされる在庫量を記録している(図3)。国内の生鮮豚肉の流通量が不足している中で、外食などを中心にこれら冷凍豚肉在庫に対する市場供給圧力が高まっているとみられている。
図1 第1四半期の豚肉生産量の推移
図2 豚総飼養頭数の推移
図3 冷凍豚肉在庫量の推移
【海老沼 一出 令和3年7月21日発】
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