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米国農務省による世界の大豆需給予測(2021年7月)

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2021/22年度世界の期末在庫量、中国の飼料需要の緩和により上方修正

 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2021年7月12日、「Oilseeds:World Markets and Trade」で2021/22年度の世界の大豆需給予測値を、また、米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)は同日、2021/22年度(9月〜翌8月)の世界の主要農作物需給予測値をそれぞれ更新した。
 これによると、2021/22年度の世界の大豆生産量は、前回より30万トン上方修正され、前年度比6.0%増の3億8522万トンと2年連続で増加し記録的な水準になると見込まれている(表)。最大の生産国であるブラジルの生産量が過去最大となるほか、米国やアルゼンチンといった主要生産国も前年度を上回ると見込まれている。なお、2020/21年度分において、アルゼンチンが50万トン下方修正された。
 輸出量は、前回とほとんど変わらず同4.4%増の1億7285万トンと前年度をやや上回ると見込まれている。最大の輸出国であるブラジルは、生産量の増加を背景に同12.0%増の9300万トンと前年度をかなり大きく上回る一方、米国は、前年度からの繰越在庫量が少ないことや国内需要が強いことから同8.6%減の5647万トンと前年度をかなりの程度下回ると見込まれている。一方、輸入量は、中国が前回から100万トン下方修正され同3.6%増の1億7171万トンとなった。なお、2020/21年度分において、ブラジルの輸出量が300万トン、アルゼンチンが265万トンそれぞれ下方修正される一方、中国の輸入量が200万トン下方修正された。世界の大豆貿易は、アフリカ豚熱収束後、豚飼養頭数の回復する中国が需要をけん引してきたが、最近では、同国における豚肉供給量が増加し生体豚価格が低下した結果、大豆かすの需要が減少している。このため、大豆輸出入量は、米国産大豆の収穫開始前の2021年9月までの3カ月間、減少傾向で推移するとされている。
 消費量(搾油仕向け)は、前回より35万トン上方修正され同3.1%増の3億3204万トンと見込まれている。最大の消費国である中国は前回から修正はなく、アフリカ豚熱からの豚飼養頭数の回復により同4.2%増の1億トンとやや増加すると見込まれている。
 期末在庫量は、前回より149万トン上方修正され、同3.3%増の9449万トンとなり、2015/16年度以来の低水準となった2020/21度よりやや回復すると見込まれている。前述のとおり2020/21年度の輸出量が減少したことから、ブラジルが330万トン、アルゼンチンが165万トンそれぞれ上方修正された。
表
【井田 俊二 令和3年7月26日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 国際調査グループ (担当:井田 俊二)
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