海外資本による農地保有面積、前年からわずかに増加(豪州)
豪州国税局(ATO)は2021年6月、最新の農地の外国人保有登録(注1)に関する報告書「Register of Foreign Ownership of Agricultural Land」を公表した。これによると、2020年6月時点の海外資本が豪州国内に保有する農地(注2)(以下「海外資本農地」という)面積は、5302万6000ヘクタール(日本の国土の約1.4倍。前年比1.7%増)とわずかに増加した。ただし、総農地面積も増加したため、全農地面積に占める海外資本農地の割合(以下「海外資本保有割合」という)は前年同となった(表1)。なお、海外資本保有割合は、過去5年間、13%台で安定して推移している。
注1:国税局長(The Commissioner of Taxation)は、水及び農地の外国人保有登録法(Register of Foreign Ownership of Water or Agricultural Land Act 2015)の運用状況を毎年財務大臣に報告するとともに、外国人保有地の統計を公表することが義務付けられている。
注2:「海外資本農地」とは、(1)豪州に居住していない個人、(2)外国政府または外国政府の投資家、(3)豪州に居住していない個人や国外の企業などが20%以上の実質的な株式を有する企業など、(4)豪州に居住していない複数の個人が合計で40%以上の実質的な株式を有する企業などが保有する(5年を超える可能性のあるリースなどを含む)、第一次産業に現在使用されているまたは合理的に使用されうる土地のこと。水及び農地の外国人保有登録法において、(1)から(4)に該当する個人や企業などが農地を保有等した場合には、土地の価値に関わらず、ATOに通知・登録する義務が定められている。
海外資本農地の内訳を用途別に見ると、大部分を占める畜産が4531万1000ヘクタール(同1.6%増)とわずかに増加したことをはじめ、多くの品目で前年増となっており、引き続き、豪州の農畜産業に対する海外からの関心の高さがうかがえる(表2)。
同じく国・地域別で見ると、中国が919万9000ヘクタール(同0.5%増)と2年連続で1位となった。ATOは報告書で、国・地域別海外資本農地の注目すべき動きとして、イギリスが前年から86万ヘクタール減の同9.5%減となった一方、米国が52万5000ヘクタール増の同23.6%増、カナダが48万1000ヘクタール増の同22.6%増といずれも20%を超える大幅な増加となったことを挙げている(表3)。
【阿南 小有里 令和3年7月26日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9530