欧州野菜果物加工業者協会、豪雨の影響について懸念を表明(EU)
最終更新日:2021年8月11日
欧州の野菜・果物の加工産業を代表する欧州野菜果物加工業者協会(PROFEL)は7月30日、ドイツなどで発生した豪雨の影響について懸念を表明した。
同協会によると、ベルギー、オランダおよびドイツで発生した豪雨により数種類の野菜のは種や収穫に影響が出ているとしている。これら隣接する3カ国は、フランスに並ぶ野菜類缶詰の主要製造地域である(表)。
PROFELによると、特に収穫時期にあったえんどう豆の被害が大きく、圃場の土壌が流されたり、水浸しになって収穫が困難となることで、場合によっては全滅が見込まれるとし、その被害状況については、今後数週間で明らかになるとしている。
豪雨の影響は、そらまめやにんじんなどの品目にも拡大しており、えんどう豆とにんじんの野菜類缶詰を製造している企業の生産にも影響を及ぼし始めている。さらに、さやいんげんなどは、1週間にわたる降雨により、は種の遅れやは種が出来なくなることなどで早霜(秋口に早くおりる霜)の影響を受けやすくなり、より困難な状況にさらされる可能性がある。
このような天候不順は欧州の野菜加工業界にとっては深刻な問題となっている。例えば、数年にわたる極端で不安定な天候から野菜の収穫量が低下したり不安定となることにより加工原料用野菜の供給減少につながっている。2017年以降、欧州の一部地域では水不足や季節的な干ばつに直面する一方で、大雨に見舞われる地域などがある。今年も、春先の遅霜や今回の大雨が野菜の生育に影響を及ぼしている。
PROFELでは、今回の豪雨の被害を受けて、損失を軽減するための対策を業界で検討しているが、長期的には、高品質で十分な量の加工製品を消費者に確実に提供するため、サプライチェーン全体で解決策を見つけ、天候不順に対応するための投資を行わなければならないとしている。
【小林 智也 令和3年8月11日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-8527