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米国農務省、2022年の中国の豚肉需給予測を公表(中国)

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・豚肉生産予測

 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は8月26日、2022年の中国の豚肉需給予測を公表した。これによると、2022年の豚肉生産量は前年比14%減の4150万トンとされている(表)。減少の要因としてUSDA/FASは、収益性の悪化により子豚の再導入が遅滞し、飼養頭数の減少が見込まれることを挙げている。
 2021年の中国の豚肉価格の動向を見ると、年初以降、豚肉生産の回復に伴い豚肉価格は低下傾向で推移してきた(図)。しかし、同年6月には過度の価格下落から政府による豚肉備蓄のための買入・保管が開始され(注)、7月までに計3回、合計5.3万トンの豚肉を対象に実施された。政府の買入・保管は、豚肉価格の下支えが目的であるが、今後、豚肉価格が高騰した際は、2020年の価格高騰時と同様の放出が予想される。
 USDA/FASは、このような政府の対応について、豚肉価格の高騰時には価格引き下げを目的とした放出が行われることで、生産者は十分な利益を確保することが困難となることから、中小規模の生産者を中心に生産意欲が削がれることとなるとしている。また、環境規制などがより強化されることで、小規模生産者などの新規参入が困難となることにも触れている。

(注)詳細は、海外情報「豚肉価格下落を受けて国家備蓄のための豚肉の買入・保管を開始(中国))(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002983.html)を参照されたい。

・豚肉消費予測

 2022年の豚肉消費は、国内供給量の低下や食習慣の変化に伴い、前年比11.7%減の4651万トンになるとされている。具体的には、消費者の食肉消費の選択肢は、牛肉、鶏肉、魚介類、食肉代替食品など多様化が進むことを挙げている。その一例として、健康的な食生活のため、大都市の一部消費層では豚肉から鶏肉に消費がシフトする動きが起きていることに触れている。ただし、中国の食肉消費の中心は豚肉であることに変わりはなく、スーパーマーケットやeコマースなどを通じ、豚肉の販売チャネルの拡大は継続していくとされる。
 USDA/FASは、このようなeコマースの拡大に伴いコールドチェーンの整備に対する支援が推し進められている一方、運転手や食肉製品などに対する輸送時の新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の検疫強化が流通体系の整備の障壁となる可能性もあるとしている。また、COVID−19のまん延下で需要が拡大した完全調理済もしくは一部調理済の加工製品の消費(食肉消費の約2割を占める)の拡大も予測している。
 

・豚肉輸入予測

 2022年の豚肉輸入量は、国内供給量の減少に伴い前年比7.4%増の510万トンに達するとされている。USDA/FASは、政府による国内価格の調整により輸入豚肉の価格優位性が低下する可能性はあるとしつつも、eコマース等の販売チャネルの拡大により輸入豚肉の購入機会が増し、輸入品に対する需要は拡大するとしている。また、外食産業や食肉加工業者も、国産豚肉の供給量が限られるため、輸入豚肉の利用機会が増すとしている。
 今後の豚肉生産動向に直結する繁殖豚の輸入量については、2022年は引き続き高水準の輸入頭数が見込まれるものの、前年比14%減の3万頭とされている。これについてUSDA/FASは、豚肉価格が下落し、生産規模拡大に対する希望的観測がしにくい状況となっていることを要因に挙げている。繁殖豚の主要な供給国は引き続き、米国、EU、英国となるとされるが、導入の効果が経営利益となって還元されるためには3〜5年程度の時間が必要とされている。
表 中国の豚肉需給
図 豚肉価格の推移
【海老沼 一出 令和3年9月16日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4389