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豚肉価格低迷で国家備蓄による買入・保管を再度実施(中国)

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 現地報道によると、中国国家発展改革委員会(以下「発改委」という)など関係機関は9月24日、「政府の豚肉備蓄調整メカニズムを改善し、豚肉市場の供給と価格の安定を図る準備計画(以下「準備計画」という)」(注1)に基づき、国家備蓄による豚肉の買入れおよび保管の実施を公表した。前回7月以来の実施となる今回の買入れは、国慶節(10月1日〜7日)明けの10月10日に3万トンが予定されている。

 中国では2021年の春節以降、豚肉価格の下落傾向が続き、6月には生体豚価格が過度に低下し、養豚経営への影響が懸念された。このため中国政府は準備計画に基づき、7月に3回にわたり合計5.3万トンの買入れおよび保管を実施した。これにより一時的に豚肉価格は回復したものの、その後は再度下落に転じ、9月24日の週別価格は1キログラム当たり18.0元(324円:1元=18円(注2))と、7月の買入時の水準を割り込む状況となっている。
発改委によると、生産者の経営状況の指標の一つである豚/穀物比(注3)は7月の買入れ実施以降、準備計画で第3級および第2級警報と位置付けている5:1〜6:1の間で推移していたが、9月20〜24日の週の豚/穀物比は公式発表値で4.93:1となり(図)、飼料高騰が継続する中で豚肉生産の回復による生体豚価格および豚肉価格低下を受け、第1級警報の水準まで落ち込んだ。現地報道によると、今回の発表とは別に省レベルでの豚肉の買入れおよび保管も行われているとされている。また、大規模生産者の新生子豚数は8月まで増加しているため、今後も豚肉生産は増加していくとも報道されている。

 今後は秋冬の豚肉需要期に入り、国慶節や春節(2022年1月31日〜2月6日)などの大型連休による需要も見込まれることから、徐々に価格が回復する可能性もあると見込まれている。一方で、発改委価格局副局長によると、今回の買入れは実施する期間も規模も前回(7月)と比べて大規模になるとしており、現在公表されている買入れの後も、国慶節などでの需要動向やその後の価格動向次第では、さらなる実施も見込まれている。


(注1)「完善政府猪肉儲備調節机制做好猪肉市場保供穏价工作預案」(2021年第770号公告)を指す。なお、詳細は海外情報「豚肉価格下落を受けて国家備蓄のための豚肉の買入・保管を開始(中国)」を参照されたい。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の月末TTS相場。
(注3)政府による養豚生産者の収益性の指標値。算出方法は、1キログラム当たり生体豚出荷価格/1キログラム当たりトウモロコシ卸売価格。損益分岐点は7:1とされている。
・第1級警報基準比   : 5:1未満
・第2級警報基準比   : 第3級の状態が三週間以上継続
・第3級警報基準比 : 5:1以上6:1未満
・基準比(損益分岐点): 7:1
図 豚・穀物比の推移
【海老沼 一出 令和3年10月8日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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