ニュージーランド(NZ)の家畜改良公社(LIC)は2021年10月、同組織で初となる持続可能性に関する報告書を公表した。
これは、持続可能なビジネス協議会
(注1)(SBC:Sustainable Business Council)に加盟したLICが、毎年、環境改善の取組や経済状況などの進捗の公表を義務付けられていることによるものである。
(注1)NZ国内の参加組織が環境や地域社会などに与える前向きな影響を最大化することを目的として活動する機関(
https://www.sbc.org.nz/about/how-we-work)。
本報告書によると、LICとその株主であるNZの酪農家は、1990年から乳用種雄牛の遺伝的改良に取り組み、生産性の高い持続可能な種雄牛を作出してきた。これにより、1990年から2020年までの30年間で、LIC保有の乳用種雄牛の乳固形分1キログラム当たりのメタン排出量が13%、尿中窒素量が16%それぞれ減少し、気候変動に関する目標
(注2)を達成するための体制を整えたとしている(図1、2)。
(注2)NZ政府のゼロカーボン法(Zero Carbon Act)において、二酸化炭素と一酸化二窒素の排出量を2050年までに正味ゼロに、メタン排出量を2030年までに10%削減、2050年までに24〜47%削減という暫定的な目標(5年ごとに見直し)が設定されている。