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英国政府、豚肉の民間在庫補助の実施を発表(英国)

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 英国環境・食料・農村地域省(Defra)は10月15日、養豚業界の危機に対応するため、豚肉の民間在庫補助を含む各種支援を行うことを発表した。
 Defraによると、この措置は、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)のパンデミックの影響からのと畜場の労働者不足によりと畜能力が減少し、養豚場に出荷豚が滞留することで生体豚価格が下落していることを踏まえて決定されたものである。
 また、一部の食肉処理施設が中国向け豚肉輸出の認証を停止されたことも英国内の豚肉を供給過多にする一因とされている。さらに、 英国のEU離脱(Brexit)に伴う労働者やトラックドライバー不足の影響を指摘する意見も現地では見受けられる。
 なお、英国にとって今回の民間在庫補助の発動は、Brexit以降、初めての市場介入措置となる。

 Defraのユースティス大臣は、「パンデミックや輸出市場の影響など、ここ数カ月の間に養豚業界が直面している苦境に対応するため、この一時的な措置を行った。これは、この困難な時期を政府がどのように支援できるかについて、業界と密接に協力した結果である」と説明している。

Defraによる各種支援の内容は以下の通りである。
●と畜場の土曜日の操業や操業時間の延長を承認
●イングランドの食肉処理・加工企業が、豚枝肉を3カ月〜6カ月の間保管することを可能とするため、豚肉の民間在庫補助を実施(補助の詳細はおって公表)
●食肉加工従事者向けに800人を上限に6カ月間のビザを12月末までに発給
●イングランドとスコットランドの養豚生産者が、それぞれ農業・園芸開発委員会(AHDB)またはクオリティ・ミート・スコットランド(QMS)に支払う2021年11月分の生産者課徴金(チェックオフ)の支払いを停止(この措置により養豚業界では100万ポンド(1億5400万円、1ポンド=154円(注))弱の節約が可能となる。)
●中国向け輸出認証が停止された食肉処理施設に対して、他の輸出市場へ振り替えるための支援をAHDBと協力して実施
●英国産豚肉の消費促進活動を実施

 現地専門誌によれば、今回、英国がこのような緊急支援を行ったことにより、豚肉価格の低迷と生産コスト高に苦しむ他の欧州諸国からも同様の要求が高まるとの指摘もされている。既に10月11〜12日に開催されたEU農相理事会では、18カ国からの賛同を受けたベルギーによる民間在庫補助を含めた支援要求が、欧州委員会により却下されている状況にある。

(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の月末TTS相場。
【調査情報部 令和3年10月26日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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