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2021/22年度穀物の生産見通しを発表(豪州)

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 豪州農業資源経済科学局(ABARES)は11月30日、四半期ごとに公表される穀物生産見通しを公表した。この中で、飼料穀物原料として同国の畜産生産にも影響を及ぼす2021/22年度(7月〜翌6月)冬作物および夏作物の生産予測の見直しを行った(注)
(注)同国の冬作物は主に3月〜6月に播種、10月〜翌年1月に収穫を行い、夏作物は10月〜翌年1月に播種、3月〜6月に収穫を行う。

【冬作物】2021/22年度生産量、過去最高の見込み

 2021/22年度の冬作物の生産量は、5838万8000トン(前年度比4.8%増)と前回(9月)予測から上方修正された。また、直近10年平均生産量を40.7%上回り、統計上、過去最高となることが見込まれている(表1)。
 品目別に見ると、主要な冬作物である小麦の生産量は3442万2000トン(前年度比3.3%増)、単収は1ヘクタール当たり2.65トン(同2.3%増)、作付面積は1300万5000ヘクタール(同0.9%増)と見込まれている。また、大麦の生産量は1328万5000トン(同1.5%増)、単収は3.05トン(同2.9%増)、作付面積は436万ヘクタール(同1.4%減)と見込まれている。
表1
 州別に見ると、主要穀倉地帯である西オーストラリア(WA)州では、春の降雨と穏やかな気候に恵まれたことで、過去最高となる2116万4000トン(前年度比25.7%増)の生産が見込まれている(表2)。その他の多くの州では、豊作となった前年度比では減少するものの、ニューサウスウェールズ(NSW)州とクイーンズランド(QLD)州では、例年よりも降雨量が多かったことや霜の発生が少なかったことなど、作付けの理想的な気候条件が整い作付面積が増加したことにより、過去二番目に高い生産量が見込まれている。
表2

【夏作物】綿実作付面積の急増などを背景に、生産量は大幅増

 2021/22年度の夏作物の生産量は、496万トン(同48.5%増)と前回予測から上方修正され、作付面積も綿実等の急増を背景に141万8000ヘクタール(前年度比36.0%増)と大幅な増加が予測されている(表3)。また、直近10年平均生産量を31.8%上回り、平均値より大幅な増産が見込まれている。
 品目別に見ると、ソルガムの作付面積は58万6000ヘクタール(同14.8%増)と予測されている。NSW州やQLD州で作付面積の増加が見込まれている一方、11月の記録的な降雨量により、一部の早播き農地で作付けへの影響が生じた可能性もあるとしている。
 また、綿実の作付面積は54万8000ヘクタール(同84.5%増)と予測されており、これにより、生産量も154万トン(同79.0%増)と大幅な増加が見込まれている。なお、ABARESによると、綿実は他の作物と比べて収益性が高く、最近の降雨を背景にかんがい用水が豊富にあることなどから、作付けが大幅に増加したとしている。
表3
【廣田 李花子 令和3年12月9日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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