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鳥インフルエンザ感染拡大に新たな対策を導入(英国、EU)

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 英国政府は11月29日、英国全土で鳥インフルエンザの発生事例が相次いでいることを受け、昨シーズンに続き、養鶏農家に対し、放し飼いの採卵鶏を含む全ての家きんの屋内飼育などを義務付ける対策を導入した。今回の決定について英国政府は、直ちに行動を起こすことが鳥インフルエンザから家きんを守る最善の方法であるとしている。

 今回導入された対策では、養鶏農家は以下の取り組みを行うこととされている。

・全ての家きんを野鳥から隔離するために、鶏舎やネット内で飼養する。
・家きんと接触する前後には、衣服、履物、器具、車両を洗浄し、消毒する。
・ふん尿などによる汚染を最小限にするため、家きんが飼養されている場所への人、車両、機器の出入りを減らし、ネズミなどの駆除を行う。
・鶏舎内を継続的に洗浄、消毒する。
・鶏舎のすべての出入り口に、消毒液を配置する。
・家きんと野鳥との接触を最小限にする(野鳥が飼料や水などに触れられないようにする)。

 今冬、欧州では、多くの国で鳥インフルエンザが発生しており、感染拡大を防ぐため、各国で家きん類の飼養に関する規則が導入されている。オランダでは、10月下旬に高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)が発生したことを受けて、家きん類の屋内飼育が最初に義務化された。
 なお、鳥インフルエンザの発生により、すでにオランダで約35万羽、英国で約25万羽、イタリアで約80万羽が処分されるなど各国で影響が広がっている。また、EU最大の鶏肉生産国であるポーランドでは、約100万羽(うちブロイラーは約40万羽)が処分されるなど感染が拡大している。
 現地報道によると、ポーランドでは、アジアや南アフリカなどの重要な輸出市場へのアクセスを回復するために努力を続けていたものの、今回の大規模な鳥インフルエンザの発生によって水を差された格好になった。しかし、これらの市場の多くは、昨年の冬の鳥インフルエンザの発生によってすでに輸入停止措置が講じられていたため、今回の発生によってポーランドの鶏肉輸出の方向性を大きく変えることはない(注)。一方で、ポーランドは地域主義を導入している英国や米国向けの輸出に力を入れている。米国はポーランド産鶏肉の輸入を10月に解禁している。

(注)日本は、ポーランドでの鳥インフルエンザ発生を受けて、令和2年11月27日、同国からの家きん肉等の一時輸入停止措置を講じている。
【小林 智也 令和3年12月10日発】
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