EUの共通農業政策(CAP)の法的な裏付けとなる3本の法案が、欧州議会により11月23日に、閣僚理事会により12月2日に承認された。
今回承認された3本の法案は以下の通りである。
・戦略計画の策定およびCAPの2つの柱の財源となる欧州農業保証基金 (EAGF)と欧州農業農村振興基金 (EAFRD)に関する規則(Regulation (EU) 2021/2115 of the European Parliament and of the Council)
・CAPの財政、運営、監視に関する規則(同 2021/2116)
・共通農業組織、農産物や食品の品質、ラベルや地理的表示に関する規則(同 2021/2117)
今回承認された規則は、欧州委員会、欧州議会、閣僚理事会との間で行われた政治合意(注)を法律的に裏付けるものであり、EU法(規則)として12月6日付けでEUの官報に掲載された。
(注)
海外情報「次期共通農業政策(CAP)改革案について暫定合意(EU)」
これにより、EUの次期CAPが2023年1月〜2027年12月までの期間を対象に実施されることとなった。
閣僚理事会は、新しいCAPの特徴として以下のとおり挙げている。
・加盟国ごとに戦略計画の策定を義務付けることにより、各国政府がCAPの規定をそれぞれの国内農業関係者のニーズに合わせて調整することができるようになった。
・直接支払いの4分の1を環境に配慮した農法の支援に割り当てた。
・これまでのCAPに含まれていなかった社会的条件を追加し、農業従事者の適切な雇用条件を保証した。
ボイチェホフスキ農業・農村開発担当委員は、法案の成立を歓迎する声明を12月2日付で発出し、「新しいCAPは、EUの農業政策における画期的な出来事であり、より公平で、持続可能であり、柔軟な政策となる」と述べるとともに、「新しいCAPの要点である加盟国ごとの戦略計画が、2021年末の期限までに提出されることを強く望む」とした。
欧州農業組織委員会・欧州農業協同組合委員会(Copa-Cogeca)は11月23日付のプレスリリースで、3年以上にわたり交渉が続けられた次期CAP法案が、議会の約7割という多数の賛成票を得て承認されたことを歓迎する一方、新CAPで設定された22の評価指標のうち、15が環境に関するものであることを例に挙げ、各加盟国の戦略計画の中で、これらの指標を生産者が達成することを支援するため、実用的で理解しやすい対策を講じるよう求めた。