農業総産出額、農産物輸出額ともに過去最高の見込み(豪州)
豪州農業資源経済科学局(ABARES)は12月7日、2021/22年度(7月〜翌6月)の農業総産出額などの見通しを公表した。
これによると、今年度の農産物生産量は、ほぼ全ての主要農畜産物で生産量の増加が見込まれる
(注1)ことで、過去最高を記録すると予測されている(図1)。このことについてABARESは、「同時にこれほど多くの品目で生産量が増加することは、少なくとも半世紀ぶり」としている。また、農産物単価も、国際価格上昇などの影響により、1980年代後半以来の高値を記録すると見込まれることから、今年度の豪州の農業総産出額は、780億豪ドル(6兆4740億円:1豪ドル=83円
(注2))と過去最高を記録すると予測されている。
(注1)穀物の生産見通しについては、
海外情報「2021/22年度穀物の生産見通しを発表(豪州)」を参照されたい。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の月末TTS相場。
今年度の農産物輸出額については、ほぼ全ての主要輸出品目で輸出量と輸出単価の上昇が見込まれることで、610億豪ドル(5兆630億円)と農業総産出額と同様に過去最高を記録すると予測されている(図2)。ABARESは、特に輸出額の増加をけん引する事項として、ロックダウン後の世界的なアパレル製品需要により輸出単価が60%上昇すると見込まれる綿や、カナダでの不作により世界的に価格が高騰しているカノーラなどの作物の輸出増を挙げている。
なお、バルク貨物船や輸送用コンテナの不足などを起因とした運賃上昇や輸送遅延については、本年度中は継続する可能性が高いとしつつも、これらは輸出競合国も同様に直面している課題であり、主要輸出先である東南アジアに対しては、豪州の地理的優位性を高めていると分析している。
今回の予測について、豪州連邦政府のリトルプラウド農業・干ばつ・緊急事態管理担当相は、「国の経済回復下で、農家の果たしている役割が並外れて大きいこと示している」とコメントしている。
【阿南 小有里 令和3年12月14日発】
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