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2021年の農業所得は高水準となる見通し(米国)

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農業所得の推移と見通し

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)は2021年12月1日、米国農業の所得見通し(2021年)を公表した。これによると、農業純所得(注1)と農業現金所得(注2)はそれぞれ1168億米ドル(前年比23.2%増)、1330億米ドル(同14.7%増)といずれも前年からの増加が見込まれている(表1)。これが実現すれば、過去最高を記録した2013年(農業純所得と農業現金所得がそれぞれ1237億米ドル、1361米ドル)以来の高水準となる(図1)。

注1:農畜産物の販売収入、政府補助金収入、農業関連収入の合計(総農業現金収入)から、農業を行うための費用および借入金の利子など の現金支出額を控除したものであり、キャッシュフローの指標となる。
注2:総農業現金収入に農家自家消費分の現金相当額などの非現金収入を加算した額から、在庫相当額の変化を反映させ、現金支出額および減価償却費などの非現金支出額を控除したものであり、直接現金の増減として表れない収入や支出も反映している。
表1
図1

農業販売収入の推移と見通し

 農業販売収入は、農畜産業全体で4273億米ドル(前年比17.8%増)と増加が見込まれており、過去最高を記録した2014年(4240億米ドル)を超える見通しである。畜産についても1943億米ドル(同17.7%増)と増加が見込まれている。  畜種別は以下の通りであり、いずれも増加が見込まれている(表2)。 (酪 農)乳価の上昇および生乳生産量の増加により417億米ドル(同2.8%増) (肉用牛)子牛価格と枝肉価格の上昇および出荷頭数の増加により714億米ドル(同13.2%増) (養 豚)枝肉価格の上昇により269億米ドル(同40.1%増) (肉用鶏)鶏肉価格の上昇により322億米ドル(同48.6%増) (採卵鶏)鶏卵価格の上昇により93億米ドル(同7.0%増)
表2
 一方で、2021年の政府による直接支払補助金額は272億米ドル(同40.4%減)と減少が見込まれている。直接支払補助金は、主にUSDAが農業法などに基づいて支払われる補助金が該当し、その他にも臨時的な災害対策などによる補助金が含まれる。直接支払補助金の減少は、主に新型コロナウイルス感染症関連対策による支援額の減少が要因とみられている。  また、2021年の農畜産業全体の生産費は、3876億米ドル(同8.3%増)と上昇が見込まれている。特に、畜産では飼料価格が644億米ドル(同13.4%増)、家畜・家きんの導入費が355億米ドル(同15.6%増)、燃料費が158億米ドル(同32.2%増)と主要経費がいずれも上昇するとされている。

1農場当たり平均農業現金所得の推移と見通し

 このような背景を踏まえ、2021年の農畜産業全体の1農場当たり平均農業現金所得は、8万9100米ドル(前年比3.5%増)と増加が見込まれている。  一方で、同年の畜産の1農場当たり平均農業現金所得は以下のとおりであり、2年連続して増加傾向にあった酪農、前年にやや増加した肉用牛は減少、前年に減少していた養豚、養鶏は増加が見込まれている(表3、図2)。 (酪 農)24万5500米ドル(同24.7%減) (肉用牛)1万6900米ドル(同17.6%減) (養 豚)44万4000米ドル(同49.0%増) (養 鶏)12万7000米ドル(同3.3%増)
表3
図2
【調査情報部 令和3年12月23日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9805