内訳を見ると、肥育豚のうち、生体重110キログラム以上の肥育豚は前回比6.6%増とかなりの程度増加した。これは、出荷適齢期を超えて滞留している肥育豚が多くあると考えられる。一方で、生体重50〜80キログラムの肥育豚が同8.8%減とかなりの程度減少した。また、子豚頭数は、生体重20キログラム未満は同6.0%減となり、生体重20〜50キログラムは同5.5%減となり、当面の頭数拡大の兆しは見られない。
同調査によると、養豚生産者も減少しており、11月3日時点の養豚生産者は1万8800戸と同4.8%減となった。ドイツ連邦統計局は養豚生産者の減少理由として、輸出需要の低迷による豚肉価格の下落を挙げている。ドイツでは、2020年9月に野生イノシシにアフリカ豚熱の発生が確認されて以来、主要輸出先であった中国などアジア諸国を中心に輸入停止措置が続いている(注)。
また、10年前(2011年11月3日)との比較では、豚の総飼育頭数は13.8%減(380万頭減)とかなり大きく、養豚生産者は39.1%減(1万2100戸減)と大幅に、いずれも減少している。
(注)海外情報
「野生イノシシで初のASF発生(ドイツ)」を参照されたい。
ドイツ養豚生産者協会(ISN)は同日、同調査結果は養豚業界の劇的な変化を示しているとし、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)のパンデミックの間に減少していることは、特に憂慮すべき事態であるとの声明を発表した。養豚生産者は、パンデミックにより出荷と販売に影響を受け、豚肉価格が下落する中で生産コストが上昇し、かつてない規模の経済的損失を受けているとした。養豚生産者が廃業する理由としては、将来の展望が立たないことが掲げられている。
このためISNは、「豚肉価格の低迷が続く中、日を追うごとに多くの生産者が廃業しており、短期的には、生産を継続出来るような緊急支援が非常に重要である」と政府の支援を訴えた。また、政府に対し、「現状に対する解決策を講じ、養豚生産者が将来展望を持てるようにする責任がある」と追及した。
なお、ドイツは長期に渡ってEU最大の豚肉生産国であったが、2021年1〜9月の豚肉生産量の累計ではスペインに抜かれているため、21年はドイツが最大の豚肉生産国の座から降格することはほぼ間違いないと考えられる。