2021/22年度主要穀物の生産状況等の調査結果(第4回)を公表(ブラジル)
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は1月11日、2021/22年度第4回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した(表、図)。この調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)や秋植えの冬期作物(第2期作・第3期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。
トウモロコシ生産量、南部地域での干ばつなどの影響により下方修正
21/22年度(第1〜第3期作)のトウモロコシ生産量は、第1期作を中心に前回より427万9600トン下方修正され、1億1290万1900トン(前年度比29.7%増)となった。ただし、生産量は、依然として、CONABが統計を取り始めて以来、最大となった19/20年度の記録を更新すると見込まれている。
全生産量の4分の1程度を占める第1期作トウモロコシは、作付面積のほぼ90%(21年12月末時点)で播種が行われ、生育状況は、南部地域を除き全体的に良好とされている。生産量は、前回より14.7%下方修正され、2478万6500トン(同0.3%増)と前年度並みにとどまると見込まれている。これは、ラニーニャ現象により最大の生産地である南部地域で21年11月以降、干ばつや少雨などの影響により作物の生育状況が大幅に悪化し単収の減少が見込まれるためである。特にリオグランデドスル州では前回より48.5%下方修正されるなど南部地域全体で34.1%下方修正され、862万9800トン(前年度比9.1%減)と前年度をかなりの程度下回ると見込まれている。
また、全体の4分の3程度を占める第2期作および同2%程度を占める第3期作の生産量は、前回と同様、それぞれと8625万9100トン(同42.0%増)、185万6100トン(同17.0%増)と見込まれている。
21/22年度のトウモロコシ需給動向を見ると、生産量が今回下方修正されことなどから、期末在庫が380万2800トン下方修正され、959万4600トン(同8.7%増)とされた。
大豆生産量も南部地域での生育状況の悪化により下方修正
21/22年度の大豆生産量は、前回より229万300トン下方修正されたものの、1億4049万9600トン(前年度比2.3%増)と前年度をわずか上回り、CONABが統計を取り始めて以来、最大となった前年度の記録を更新すると見込まれている。これは、好調な市場価格や米ドルに対するレアル安を背景として作付面積が前年度を3.8%上回るとされているためである。
地域別に見ると、最大の生産地である中西部地域のマットグロッソ州では、全般的に良好な生育状況となっている。これに加え、作付面積が前年度を4.0%上回ることから、生産量は3832万500トン(同4.9%増)と見込まれている。一方、中西部に次いで多い南部地域では、干ばつや少雨などによる作物への影響が深刻な状況となっている。パラナ州では、21年11月以降、州西部など一部地域で干ばつの長期化により開花期以降の作物の生育に大きな影響を及ぼした。このため、同州の生産量は、前回より10.9%下方修正された。このほか、リオグランデドスル州でも21年11月以降、降水量不足が続いており、発芽期以降の作物の生育状況に悪影響を及ぼしている。このため、かなりの面積の農地で再播種が行われたと報告されている。なお、同州の生産量は今回修正されていないことから、次回以降の調査結果で下方修正されとみられる。
【井田 俊二 令和4年1月26日発】
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