2021/22年度主要穀物の生産状況等の調査結果(第5回)を公表 (ブラジル)
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は2月10日、2021/22年度第5回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した(表、図1〜3)。この調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)や秋植えの冬期作物(第2期作・第3期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。
トウモロコシ生産量、2回連続の下方修正となるも過去最大の見込み
21/22年度(第1〜第3期作)のトウモロコシ生産量は、前回より55万9100トン下方修正され、1億1234万2800トン(前年度比29.0%増)となった。
前回は、南部地域を中心にラニーニャ現象による干ばつや高温などの影響から生産量見込みが427万9600トンと大きく引き下げられたのに続いて、2回連続での下方修正となった。ただし、生産量は、依然としてCONABが統計を取り始めて以来、最大となった19/20年度の記録を更新すると見込まれている。
全生産量の4分の1弱を占める第1期作トウモロコシは、作付面積の11%(22年1月末時点)で収穫が行われた。作物の生育状況は、南部地域およびマットグロッソドスル州(中西部)の一部を除き全体的に良好とされている。しかしながら、生産量は、前回に続き下方修正されて2443万4100トン(同1.2%減)と前年度をわずかに下回ると見込まれている。これは、最大の生産地である南部地域を中心に21年11月以降、干ばつや高温などの影響から単収減が見込まれるためである。今回は、サンタカタリーナ州などで生産量が大幅に下方修正された結果、南部地域の生産量は、前年度を大幅に下回る(前年度比16.2%減)と見込まれている。
全体の4分の3程度を占める第2期作は、作付面積の14.5%(22年1月末時点)で播種が行われた。生産量は、今回わずかに下方修正されたものの、8605万2800トン(同41.7%増)と前年度の不作による生産減から大幅な回復が見込まれている。また、全体の2%程度を占める第3期作の生産量は、前回の見込みと変更はない
大豆生産量、干ばつなどの影響で下方修正され前年度を下回る見込み
21/22年度の大豆生産量は、前回より1502万8300トン下方修正され、1億2547万1300トン(前年度比9.2%減)とこれまでの増産予測から一転して前年度をかなり下回ると見込まれている。これは、南部地域を中心に干ばつや高温などの影響から、単収減が見込まれるためである。なお、大豆の収穫作業は、作付面積の12.3%(22年1月末時点)で行われ、天候の影響で作業が遅れた前年度より進んでいる。
地域別に見ると、南部地域のリオグランデドスル州では、21年11月以降、干ばつによる水不足に加え、気温が40度近い日が続いたことから、作物が枯死するなど大豆の生産に大きな被害が生じている。このため、生産量は、前回より35.3%減と大幅に下方修正された。このような状況は南部地域のパラナ州、サンタカタリーナ州や中西部のマットグロッソドスル州の一部でも見られ、いずれも生産量が前回より2〜3割下方修正された。一方、最大生産地である中西部地域のマットグロッソ州は、天候に恵まれ、全般的に良好な生育状況となっている。同州の大豆の収穫作業は作付面積の34%(22年1月末現在)で行われ、生産量は3896万9600トン(同5.2%増)と見込まれている。
21/22年度の大豆需給動向を見ると、生産量が減少することから、輸出量が前回より914万7700トン下方修正され、8016万4300トン(同6.9%減)と見込まれている。このほか、加工量および期末在庫も、それぞれ339万3600トンおよび122万4000トン下方修正された。
【井田 俊二 令和4年2月21日発】
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