国際情報コーナー 農畜産物全般、畜産、野菜、砂糖、でん粉の海外情報、輸出促進対策などの記事、統計

ホーム > 国際情報コーナー > 海外情報 > 海外情報(野菜) > スペイン、ポルトガルの干ばつ、ニンニクの生産にも影響(EU)

スペイン、ポルトガルの干ばつ、ニンニクの生産にも影響(EU)

印刷ページ

最終更新日:2022年3月14日

干ばつに対する支援策を要請

 EU閣僚理事会は2月21日、スペインとポルトガルが深刻な干ばつにあり、作物の生育に影響が出ているという両国代表団から提出された報告を発表した。
 これによるとスペイン、ポルトガルの両国では、21年11月以来、降水量が平年を大きく下回って推移し、また、気温も例年に比べて高いことから全般的に干ばつの状態にあるとしている。特に、南部での土壌水分の不足が作物の生育に影響を及ぼしている。さらに、両国の気象庁は、今後の気象予報として、いずれも降水量が平年を下回る一方で、気温は平年を上回るとしており、予報通りの天候で推移した場合には、さらなる状況の悪化が懸念されている。また、両国のダムの貯水率は大幅に減少しており、ポルトガルでは、水量制限などから灌漑への割当量が例年の3割程度にまで減少しており、作物への影響が危惧されている。
 さらに、今後数カ月間は厳しい状況が続くと予想している。このため、干ばつの影響を最小限に抑えるための財政支援などの対策の検討が急務であるとした。
具体的に両国は、直接支払制度の前払い率の引き上げなどを要請している。

日本向け輸出も行うニンニクの生産にも影響

 現地報道によると、今回の干ばつによりスペインのにんにく生産に影響が出ているとされている。国家にんにく生産者・商業者協会(Anpca)の話として、にんにくの最大の産地であるカスティーリャ・ラ・マンチャ州とアンダルシア州では、約1500ヘクタールの農地が水不足の状況にあるとされている。さらに、干ばつに加え、電気代、肥料代などのコストが前年に比べ25〜30%上昇していることから、2022年の生産量は前年から10%減少し、約25万トンになる可能性が報じられている(注)。
 スペインはEU最大のニンニク供給国であり、21年の輸出量は前年比3%増の18万9200トンであった。主な輸出先はドイツ向け15%、米国向け14%、イタリア向け11%となっている。また、日本にも輸出されており、21年の日本の生鮮にんにくの輸入量のうち、同国産が約9%を占めている。

(注)スペインのにんにくの生産については、野菜情報2017年10月号「スペインにおけるにんにくの生産および輸出動向」を参照されたい。

【小林 智也 令和4年3月14日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-8527