米国農務省による世界のトウモロコシ需給予測(2022年3月)
アルゼンチンなどで単収減も、世界のトウモロコシ生産量は引き続き過去最高の見通し
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2022年3月9日、2021/22年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表1)。
これによると、世界のトウモロコシ生産量は12億614万トン(前年度比7.4%増)と前月から79万トン上方修正され、引き続き過去最高の生産が見込まれている。最大の生産国である米国、第2位の中国と第3位のブラジルは、いずれも前月から据え置かれたが、EUに次ぐ第5位のアルゼンチンは、乾燥気候に伴う単収の減少から同100万トン下方修正された。また、主要生産国の南アフリカも、同じく乾燥気候に伴う単収減による生産量の減少が見込まれている。
輸出量は、世界全体で1億9990万トン(同10.0%増)と前月から377万トン下方修正された。うち、ウクライナは黒海沿岸の穀物積出港の港湾機能停止の影響などから600万トン下方修正された。一方で、米国はウクライナの輸出減を補うとの見込みから190万トン上方修正された。
輸入量は、世界全体で1億8563万トン(前年度並み)と前月から254万トン下方修正された。うち、最大の輸入国である中国は2600万トン(前年度比11.9%減)と前月から据え置かれた。
消費量は、世界全体で11億9662万トン(同5.1%増)と前月から145万トン上方修正され、引き続き前年度を上回ると見込まれている。うち、最大の消費国である中国は2億9400万トン(同3.2%増)と前月から据え置かれた。
この結果、期末在庫は3億97万トン(同3.3%増)と前月から125万トン下方修正されたが、前年度をやや上回ると見込まれている。
米国は、国内消費量と輸出量の上方修正でトウモロコシの期末在庫は9%台に
USDA/WAOBは2022年3月9日、2021/22年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給予測値を更新した。このうち、同国のトウモロコシ需給見通しは次の通りである(表2)。
生産量は、151億1500万ブッシェル(3億8394万トン(注1)、前年度比7.1%増)と前月から据え置かれた。引き続き、前年度からかなりの程度増加が見込まれており、これまでの統計で最も生産量の多かった16/17年度の151億4800万ブッシェル(3億8477万トン)に近い水準となっている。
消費量は、124億3500万ブッシェル(3億1586万トン、同3.0%増)と前月並みと予測され、引き続き、エタノール向け需要の増加(同6.3%増)が消費をけん引すると見込まれている。
輸出量は、米国がウクライナの輸出減を補うとの見込みから25億ブッシェル(6350万トン、同9.2%減)と前月からやや上方修正されたが、記録的な輸出量となった前年度からはかなりの程度減少が見込まれている。
期末在庫は、国内消費量と輸出量がいずれも上方修正されたことで、14億4000万ブッシェル(3657万トン、同16.6%増)と前月からかなりの程度減少する結果となった。
この結果、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は9.6%(同1.3ポイント増)とされ、10%台を割り込んだ。
また、生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり5.65米ドル(659円。1キログラム当たり25.9円:1米ドル=116.55円(注2))と前月からやや上方修正された。
(注1)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年2月末TTS相場。
【水野 崇 令和4年3月23日発】
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