22年1月以降の生体豚価格の下落の要因は、春節需要を見越した出荷の集中と新型コロナウイルス感染症の流行を要因としたロックダウンなどによる需要減とされている。さらに2月以降は、例年の春節明けの需要減による価格の下落時期であることも影響したとみられている。生産者にとっては飼料価格の高騰に加え、アフリカ豚熱などの疾病対策によるコストの増加も経営を圧迫する要因となっており、この間、1頭当たりの肥育コストが100元(1857円:1元=18.57円
(注3))以上も増加したとされる。このように非常に厳しい経営状況が継続している中で、過去の生体豚の価格変動サイクルから判断して、現在の価格低下はまもなく底を打ち、上昇に転ずるとの明るい見方も一部で出てきている。また、21年の秋ごろから繁殖雌豚頭数が減少に転じたことから、22年後半に価格が回復するとの見方も多い。他方、一部では22年中の本格的な価格回復は見込めないとする見方もあり、養豚生産は先行きの見通しが難しい状況が続いている。
(注1)「完善政府猪肉儲備調節机制做好猪肉市場保供穏价工作預案」
(2021年第770号公告)を指す。なお、詳細は海外情報「豚肉価格下落を受けて国家備蓄のための豚肉の買入・保管を開始(中国)」を参照されたい。
https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002983.html
(注2)政府による養豚生産者の収益性の指標値。算出方法は、1キログラム当たり生体豚出荷価格/1キログラム当たりトウモロコシ卸売価格。損益分岐点は7:1とされている。
- 第1級警報基準比 : 5:1未満
- 第2級警報基準比 : 第3級の状態が三週間以上継続
- 第3級警報基準比 : 5:1以上6:1未満
- 基準比(損益分岐点): 7:1
(注3)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年2月末TTS相場。