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米国農務省による世界のトウモロコシ需給予測(2022年4月)

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ブラジルなどの上方修正で、世界のトウモロコシ生産量は引き続き過去最高の見通し

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2022年4月8日、2021/22年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表1)。
 これによると、世界のトウモロコシ生産量は12億1045万トン(前年度比7.5%増)と前月から431万トン上方修正され、引き続き過去最高の生産が見込まれている。最大の生産国である米国、第2位の中国は、いずれも前月から据え置かれたが、第3位のブラジルは、第2期作の作付面積の拡大を受けて200万トン上方修正され、過去最高の生産量が見込まれている。第4位のEUも、ドイツ、ルーマニア、チェコでの生産量増加により、70万トン上方修正され、同5.0%増と見込まれている。なお、第5位のウクライナは、前月から据え置かれたものの、同38.3%増と見込まれている。
 輸出量は、世界全体で1億9700万トン(同8.2%増)とかなりの程度増加が見込まれているが、前月から290万トン下方修正された。うち、ウクライナは黒海沿岸の穀物積出港の港湾機能停止の影響などから450万トン引き下げられ、2カ月連続の下方修正となった。一方で、ブラジルは主に第2期作の増産を背景とした輸出余力の増加により150万トン上方修正された。
 輸入量は、世界全体で1億8211万トン(同1.9%減)と前月から352万トン下方修正された。うち、最大の輸入国である中国は、主要輸入先国であるウクライナの状況を受けて前月から300万トン下方修正され、2300万トン(同22.1%減)と大幅な減少が見込まれている。
 消費量は、世界全体で11億9715万トン(同5.0%増)と前月から53万トン上方修正され、引き続き前年度を上回ると見込まれている。うち、最大の消費国である中国は2億9100万トン(同2.1%増)と前月から300万トン下方修正された。
 この結果、期末在庫は3億546万トン(同4.6%増)と前月から449万トン上方修正され、前年度をやや上回ると見込まれている。
表1

米国のトウモロコシ期末在庫率、引き続き9%台に据え置き

 USDA/WAOBは2022年4月8日、2021/22年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給予測値を更新した。このうち、同国のトウモロコシ需給見通しは次の通りである(表2)。
 生産量は、前月から据え置かれ、151億1500万ブッシェル(3億8394万トン(注1)、前年度比7.1%増)と、これまでの統計で最も生産量の多かった16/17年度の151億4800万ブッシェル(3億8477万トン)に近い水準となっている。
 消費量は、飼料など向けが2500万ブッシェル下方修正されたものの、エタノール向けが前月から2500万ブッシェル上方修正されたため、全体では124億3500万ブッシェル(3億1586万トン、同3.0%増)と前月から据え置かれた。引き続き、原油高を背景にエタノール向け需要の増加(同6.8%増)が消費をけん引すると見込まれている。
 輸出量は、前月と同様、米国がウクライナの輸出減を補うとの見込みから25億ブッシェル(6350万トン、同9.2%減)と据え置かれ、記録的な輸出量となった前年度からは、かなりの程度の減少が見込まれている。  
 この結果、期末在庫は、14億4000万ブッシェル(3657万トン、同16.6%増)と前月から据え置かれた。
また期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)も9.6%(同1.3ポイント増)と前月と変わらず10%台を割り込んだ。
 生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり5.80米ドル(716円。1キログラム当たり28.2円:1米ドル=123.39円(注2))と前月からやや上方修正された。
 なお、米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が3月31日に公表した穀物の作付け予想によると、22年のトウモロコシの作付面積は8949万エーカー(3622万ヘクタール、前年比4.1%減)で、大豆の作付面積9096万エーカー(3681万ヘクタール、同4.3%増)を下回ると見込まれている。サウスダコタ州やネバダ州では過去最高の作付面積が見込まれるものの、48州中43州の作付面積は据え置きまたは縮小すると予想されている。
 
(注1)1ブッシェルを約25.401キログラム、1エーカーを0.4047ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年3月末TTS相場。
表2
【塩原 百合子 令和4年4月14日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4396