製糖団体、製糖業界の経済効果を公表(豪州)
最終更新日:2022年4月22日
豪州の製糖業者が加盟する豪州砂糖製造業者協議会(ASMC)は2022年3月、製糖業界の経済効果に関する調査報告を踏まえ、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の拡大や砂糖国際価格の低迷、悪天候などの影響に対し、主な砂糖生産地域であるクイーンズランド(QLD)州の製糖業界の頑健性が確認できたとする声明を発表した。
本調査報告によると、QLD州の製糖業界は2020/21年度(7月〜翌6月)において、同州の総生産(GSP:Gross State Product)の1.1%に相当する38億1500万豪ドル(3586億円:1豪ドル=94.00円(注))の総付加価値額があったとしている(表)。そのうち、砂糖生産に関連する直接的なものとして22億7470豪ドル(2138億2180万円)としている。また、製糖業界の雇用者数は、QLD州の総雇用者数の0.8%に相当する1万9673人であり、うち直接的な業務が8301人であったとしている(表)。なお、QLD州の製糖業界は、州内6549社もの企業との間で地域ビジネスの取引も行っており、ASMCは製糖業界がQLD州経済に対して多くの貢献を行っていることを強調している。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年3月末TTS相場。
また、QLD州の製糖業界からの支出を地域別に見ると、製糖工場が密集する同州北東部が最も多い地域であり、同州全体では22億7470万豪ドル(2138億2180万円)が支出されている。これは、支出全体の91%を占めており、同州の製糖業界が主に地元経済に貢献していることがわかる(図)。
またASMCは22年4月、製糖産業が既にこれらの経済貢献があるとしながらも、今後も行政の支援によりさらなる産業成長と雇用拡大の余地がある とし、同年5月21日に予定されている豪州連邦総選挙に向け、3年間で3800万豪ドル(35億7200万円)の支援を各政党に要請したことを公表している。この支援の中には、サトウキビの圃(ほ)場から製糖工場までの輸送インフラの整備やカーボンニュートラル達成を見据えた、持続可能なバイオエタノールに関する研究開発費の支援、市場アクセスの改善などが含まれるとしている。
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