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「抗生物質不使用」をうたう農場の牛から抗生物質を検出(米国)

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 米国ジョージ・ワシントン大学は、「抗生物質不使用(RWA)」をうたう農場の多くで抗生物質が使用されている可能性があるという研究結果をサイエンス誌に発表した。以下にその概要を報告する。

1 ジョージ・ワシントン大学による抗生物質検査

 同大学は2020年2月初旬から8月下旬までの約7カ月間、ある食肉企業の食肉処理・加工施設において検査を実施した。検査の対象は、RWA牛肉市場向け33フィードロット(肥育農場)の計312ロット(農場内の区画)から出荷された約3万8000頭の牛のうち、約700頭(1ロット当たり平均2.2頭)である。なお、この頭数(3万8000頭)は同期間に米国で生産されたRWA牛の約12%に相当する。
 検査の結果、複数の尿検体から17種類の抗生物質が検出された(表1)。これらの抗生物質は一般的に飼料や水に添加して投与されるものであり、陽性を示した牛が飼養されていたロット内の牛にも同様に投与されていた可能性が高い。
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 全ての尿検体が陽性を示したロットで飼養された牛が1978頭、1つ以上の尿検体が陽性を示したロットで飼養された牛が3795頭いたことになり、合計5773頭(全体の15%)が少なくとも1検体が陽性を示したロットで飼養されていた(表2)。
 また、農場別に見ると、全ての尿検体が陽性を示したロットを複数持つ肥育農場が3農場(検査農場の9%)、全ての尿検体が陽性を示したロットを一つ持つ肥育農場が4農場(同12%)、全てではなくとも尿検体が陽性を示したロットを複数持つ肥育農場が7農場(同21%)、1つ持つ肥育農場が14農場(同42%)となった(表3)。
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 この検査結果に、本研究の共同研究者である同大学のプライス氏は、「食肉生産過程における抗生物質の過剰使用の防止に取り組み、RWA牛肉を推奨してきたが、今回の研究結果によりRWAの表示が必ずしも真実でなかったことに失望している」と述べた。

2 米国農務省食品安全検査局(USDA/FSIS)のガイドライン

 RWAの表示については、米国農務省食品安全検査局(USDA/FSIS)は「動物由来製品の表示に関するガイドライン」の中で定めている。本ガイドラインによると、RWAラベルの表示には、「抗生物質不使用(Raised Without Antibiotics)」、「抗生物質不投与(No Antibiotics Administered)」、「抗生物質フリー(Raised Antibiotic Free)」など多数ある。これらのラベル表示を希望する生産者は、(1)家畜に抗生物質が投与されていないことを保証するための飼養管理方法の説明、(2)RWA家畜と抗生物質が投与された家畜との分別のための手順の説明、(3)宣誓書の提出を行う必要−がある。
 一方で、USDA/FSISは抗生物質検査の実施や陰性証明書の義務付けは行っていない。
 今般の研究結果を受け、同大学の研究者、農業関係の活動団体であるファーム・アクションや生産者団体であるグラス・フェッド協会からは、USDA/FSISに対して、消費者を守るためにも抗生物質検査の実施を求める声が上がっている。

【調査情報部 令和4年4月26日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:調査情報部(国際調査グループ))
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