欧州委員会は4月27日、ウクライナ産品に対する関税を1年間無税とする規則案を提出した。
プレスリリースによると、欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、「一時的とはいえ、ウクライナ経済の活性化のために、同国からの輸入品に対する関税を停止することは極めて重要である」と述べた。さらに、「この措置により、ウクライナの工業製品および農産物のEUへの輸出が大幅に促進される」としてこの措置の意義を強調している。
ウクライナの農業政策・食料省も同日、欧州委員会が提案した措置を歓迎するプレスリリースを発出した。
欧州の畜産関係団体も、ウクライナとの連帯を表明していることもあり、同規則案に対し特段の反対意見を表明していない。同規則案は今後、欧州議会および閣僚理事会の審議にかけられることになる。
ウクライナの畜産物貿易を見ると、2021年にウクライナから牛肉、家きん肉、バター、脱脂粉乳など45万トン以上が輸出された一方で、ウクライナに豚肉や家きん肉、生乳、チーズなど25万トン以上が輸入された。
同年のウクライナ産畜産物の主な輸出先を見ると、牛肉は中国、CIS(独立国家共同体)諸国(注)向け、家きん肉は中近東諸国、CIS諸国、EU向け、バターはCIS諸国向け、脱脂粉乳はCIS諸国、バングラディッシュ、中国向けであった。
豚肉は、ウクライナがアフリカ豚熱の発生国であることから輸出先は限定されており、乳製品は低価格帯製品の輸出が多く、EUへの輸出量は少ない。一方で家きん肉は、20年にEU向けに8万トン近くの輸出実績があり、21年8月時点で主要2社3施設がEUの認定施設となっている。そのうち、1社2施設が大きな輸出割合を占めていたことから、今回の措置の恩恵を受けるとみられている。
なお、ウクライナの畜産物の主な輸入先は、豚肉、家きん肉、チーズともEUからとなっている。
(注)アゼルバイジャン、アルメニア、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ベラルーシ、モルドバ、ロシア、トルクメニスタンが該当