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2022/23年度の砂糖生産量、前年度からの伸びを見込む(ブラジル)

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最終更新日:2022年5月19日

 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は4月27日、2022/23年度(4月〜翌3月)の第1回サトウキビ生産状況等調査結果報告を公表した(同調査は、同年度におけるサトウキビ、砂糖およびバイオエタノールの生産予測を、年4回公表するもの(注1))。
 
(注1)2021/22年度の生産実績などについては、令和4年5月13日付け海外情報「2021/22年度の砂糖生産量、輸出量は共に減少(ブラジル)|農畜産業振興機構 (alic.go.jp)を参照されたい。
 
 これによると、サトウキビの収穫面積は821万ヘクタール(前年度比1.3%減)と減少が見込まれている。地域別に見ると、北東部地域では、天候上の理由などから前年度に耕作が見合わせられたほ場での栽培が再開されたことで、91万ヘクタール(前年度比2.5%増)と増加が見込まれている。一方で、主産地である中南部地域では、より収益性の高いトウモロコシや大豆などへの転作が進むことで、729万ヘクタール(同1.8%減)と減少が見込まれており、これが全体の減少要因となっている(図1)。
 また、1ヘクタール当たりの収量は、2021年10月から22年初頭にかけて主産地でまとまった降雨が続いたことで、72.6トン(同3.2%増)まで回復すると見込まれている。この結果、単収の増加が収穫面積の減少を相殺し、サトウキビ生産量は5億9607万トン(同1.9%増)と増加が見込まれている。
 砂糖生産量は、国際相場の高値基調などを受けて、サトウキビの49.8%(同5.3ポイント増)が砂糖生産に仕向けられることで、4028万トン(同14.9%増)とかなり大きな増加が見込まれている(図2)。
 
 サトウキビ由来のバイオエタノール生産量は、2481万キロリットル(同7.4%減)とかなりの程度の減産が見込まれている(図3)。このうち、無水エタノール(注2)は、前年度の増産の反動で943万キロリットル(同11.1%減)とかなり大きく減少すると見込まれている。また、含水エタノールも、砂糖の高収益性を背景に年度初めに製糖工場が砂糖生産を優先する意向をみせていることから、1538万キロリットル(同4.9%減)とやや減少すると見込まれている。
 
(注2)自動車の燃料として用いられるエタノールには、無水と含水の2種類がある。無水エタノールは含水エタノールから水分を取り除きアルコール純度100%としたもので、ガソリンに混合して一般的な車両などに利用される。一方、含水エタノールは製造段階で蒸留した際に生じる水分を5%程度含み、フレックス車(ガソリンとエタノールいずれも燃料に利用できる自動車)でそのまま燃料として利用される。同国の新車販売に占めるフレックス車の割合は全体の8割(2020年)とされている。
 
(注3)これまでブラジルでは、トウモロコシ由来のバイオエタノール(コーンエタノール)はあまり生産されていなかったが、コーンエタノールの収益性の高さなどを背景に生産量は2013/14年度以降増加傾向にある。詳細は、『畜産の情報』2020年8月号「ブラジルの大豆・トウモロコシをめぐる最近の情勢(前編)〜生産はマットグロッソ州を中心に今後も拡大の見込み〜|農畜産業振興機構 (alic.go.jp)
を参照されたい。
なお、世界第1位のバイオエタノール生産量を誇る米国では、トウモロコシ消費量の4割(飼料向けと同程度)がコーンエタノールの生産に仕向けられている。
図1
図2
図3
【塩原 百合子 令和4年5月19日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9532