英国環境・食料・農村地域省(DEFRA)は5月2日、渡り鳥が飛来する時期が終了に近づき、鳥インフルエンザの疾病リスクが下がったとして、鳥インフルエンザ感染拡大防止のために導入していた家きんの屋内飼育などを義務付けた対策
(注)を解除した。英国では、2021年10月以降、100件以上の鳥インフルエンザが確認されるなど過去最大の感染数となっていた。今回の解除を受けて、同国内の家きんは屋外での飼育が可能となるが、DEFRAは最も重要な鳥インフルエンザ感染防止策はバイオセキュリティ基準を守ることであるとして、全ての家きんの飼育者に対し、以下の取り組みを実施するよう呼び掛けている。
- 飼育している鶏のみならず野鳥についても疾病の兆候がないか注意し、懸念がある場合は速やかに獣医の助言を求めること。
- 鶏に接触する前後には、衣服、履物、器具、車両を清潔にして消毒すること。
- 飼育区域への人や車両などの通行を減らし、ふん尿やスラリーなどからの汚染を最小限に抑え、害獣駆除を効果的に行うこと。
- 鶏舎の清掃や消毒を徹底的、かつ継続的に行うこと。
- 適切な濃度の新鮮な消毒液を全ての農場と鶏舎の出入り口に設置すること。
- 野鳥が飼料や水に接することが出来ないようにするなど、直接・間接的に野鳥が鶏に接触する機会を最小限化すること。
また、フランス農業・食料・漁業・農村省は5月10日、鳥インフルエンザの発生状況が改善された地域では、家きんの屋内飼育などを義務付けた対策を緩和すると発表した。なお、フランス西部などの一部では、依然として鳥インフルエンザの疾病リスクが高いとして屋内飼育が義務付けられている。
フランスでは、21年11月に相次いで鳥インフルエンザが発生し、同国内の養鶏場で1600万羽以上が殺処分された。近年、鳥インフルエンザは10月から11月にかけてヨーロッパの西部で発生し、翌3月上旬まで発生する状況が続いていた。しかし、今シーズンは例年と異なり、いくつかの国で今でも頻発している。また、16週間以上室内飼育された鳥の卵は、放し飼い卵の表示で販売出来ないため、鶏卵生産者にとっては収入減となる。
同省は、鳥インフルエンザの発生状況が年々悪化している中で、ワクチンが解決策になることを期待しているとし、ワクチン開発に向けてアヒルやガチョウなどを対象に鳥インフルエンザに対する試験的なワクチン接種を開始したと述べた。また、試験結果は22年末までに出されるとされ、鳥インフルエンザに対するワクチン接種の戦略策定を視野に入れ、欧州レベルで提示される予定であると述べている。
(注)海外情報「鳥インフルエンザ感染拡大に新たな対策を導入(英国、EU)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003119.html)を参照されたい。