熱波によりカンザス州で肥育牛の死亡事故が急増(米国)
米国の現地報道によると、カンザス州の保健環境局は、ここ数日の異常な暑さと湿度により同州のフィードロットで2000頭以上の肥育牛が死亡したと回答した。この頭数は、死骸の処理について州に問い合わせのあったものであり、未確認情報ではあるものの、最終的な死亡頭数は1万頭に上る可能性もあるという。
現地専門家によると、6月第2週の週末に気温が急上昇した中で、その直前の降雨から湿度が高くなり、加えて風が少なかったことで夜間に入っても気温が下がらず、牛へのストレスから高い死亡率につながったと指摘している。
カンザス州西部では、同月13日までの最高気温は42度にまで上昇していた。ただし、今後は湿度が下がり一定の風が予測されることで牛への影響は最小限にとどまるとみられている。
今後の影響
USDAによると、2022年4月1日時点のカンザス州のフィードロット飼養頭数は251万頭であり、テキサス州、ネブラスカ州に次ぐ全米3番目の飼養頭数を有している(図)。
現地報道では、フィードロットでの死亡頭数の多さは、当面の牛肉供給量に影響を及ぼすが、このような高温が飼養している肥育牛に及ぼす影響を考慮することも重要としている。一般的に夏の暑さにより肥育牛の体重は減少するが、米国では昨年同時期の体重減少率(1%未満)に対し、今年は約2%減少しているとされる。体重の減少は牛肉供給量の減少に繋がるため、高止まりを続ける牛肉価格により影響を及ぼすことになる。現地報道では、現在、国内外を問わず牛肉需要が高まる中で、こうした供給の不確実性が今後の取引に影響を与えると分析している。
【上村 照子 令和4年6月22日発】
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