2021/22年度の砂糖輸出量を最大1000万トンに制限(インド)
最終更新日:2022年5月31日
インド消費者問題・食糧・公共配給省は5月25日、同省のプレスリリースを通じ2021/22年度(10月〜翌9月)の砂糖輸出量を最大1000万トンに制限すると発表した。今回の輸出制限は国内の砂糖価格の安定や砂糖在庫の確保を目的とするのもので、本年6月1日から22/23年度産が出回り始める10月31日までの間、砂糖輸出を行う際には同省の許可が必要となる。
近年の同国の砂糖輸出量を見ると、政府の輸出方針の変更などを受けて変化する状況にあるが、17/18年度から20/21年度では、砂糖の国内在庫の削減に向けて政府が輸出促進策を実施したこともあり、増加基調にある(図1)。
また同省によると、今年度はすでに約900万トン分の輸出契約が締結され、このうち約780万トンが既に輸出されるなど、現時点で過去最多の輸出量を記録しているとしている。英国の調査会社LMC Internationalは、同国の砂糖輸出が好調な理由として、近年の砂糖価格の高値基調を挙げている(図2)。
今回の輸出制限により同省は、今年度(22年9月末時点)の砂糖の期末在庫は同国の2〜3カ月分の需要に当たる600〜650万トンを確保できるとしている。同国では早いところで10月末からサトウキビの圧搾が開始されるため、次年度産の出荷が開始されるまでの間は、今年度の在庫で需要を賄えると見込んでいる。
またプレスリリースの中で、同国政府は砂糖の需給量や国内価格の状況などを継続的に監視し、国内市場での砂糖価格の維持を目指していると公表した。同省によれば、同国の過去12カ月間の砂糖の卸売価格は、100キログラム当たり3150〜3500ルピー(5796〜6440円(注))の範囲で推移し、小売価格も1キログラム当たり36〜44ルピー(66〜81円)で安定しているとしている。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の4月末TTS相場1インドルピー=1.84円を使用。
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