ドイツ食料・農業省は5月26日、フランスと国境を接するバーデン=ヴュルテンベルク州エメンディンゲンの飼養豚でアフリカ豚熱(ASF)が発生したと発表した(図)。
同省によれば、ASFが発生した農場は35頭を屋外飼育する肥育農家であり、飼育されていた豚はすべて殺処分され、直ちに飼養豚などの移動制限地域の設定が行われた。また、感染の原因については調査中としている。
同州では、5月26日時点で野生イノシシでのASF発生は報告されておらず、これまでASFの発生が確認された東部の州から500キロメートル以上離れていることから、今回のケースは人為的にウイルスが運ばれた可能性が高いといわれている。
なお、ドイツから日本向けに輸出される生きた豚、豚肉などについては、令和2年9月のドイツでの野生イノシシにおけるASF発生(注)を受けて、同年9月11日付けで、輸入を停止している。
(注)
海外情報「野生イノシシで初のASF発生(ドイツ)」を参照されたい。
今回の発生を受けドイツ養豚生産者協会(ISN)は、感染経路の特定と野生イノシシへの感染の有無について当局により実施されている調査が重要であり、野生イノシシへの感染が発生していなければ、封じ込め対策をより効果的に実行できると述べている。同時に協会は、飼養規模の大小を問わず、農場におけるバイオセキュリティ対策が重要であることを改めて強調し、生産者に対策が有効なものになっているか、定期的に点検するよう呼び掛けている。