2021年の生乳等生産量
(注1)は、この10年間で最大の伸び率となる前年比7.0%増の3777万トンとなった。この要因として、大規模農家飼養頭数割合
(注2)が70%に達したことや、1頭当たり平均乳量が8.7トン
(注3)となったことなどにより、生乳等の大部分を占める生乳の生産量がかなりの程度増加(同7.1%増の3683万トン)したことが挙げられている(表)。
輸入量は、国内の豚価格低迷などから飼料用を中心にホエイの伸び率がふるわなかったものの、全粉乳や脱脂粉乳、チーズなどが顕著に増加した結果、同18.8%増の2211万トン(生乳等換算数量、以下同じ)と大幅に増加した。また、絶対量は少ないが、ベーカリーやミルクティー向けなど新規事業での需要が増えているクリームの輸入量増加が報告されている。
消費量は、国民の健康意識の高まりなどから過去最高の伸び率を示しており、1人当たり消費量は過去最高となる42.29キログラム(同11.8%増)、全体では5972万トン(同11.8%増)とかなり大きく増加した。また、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の拡大を契機に飲用乳やヨーグルトの消費量が増加したとされるが、その他の乳製品の消費量も大きく増加したため、この2品目の消費量に占める割合は、95年の94.9%から21年には74.3%に減少したと報告されている。さらに、COVID−19流行後の変化として、従来の常温保存乳に代わり、低温保存乳の消費増加が挙げられている。また、価格面については、飼料価格の高騰や国際運賃の高騰などの影響により、生乳価格や都市部を中心とした牛乳など主要乳製品の小売価格は、いずれも上昇したとしている。
(注1)牛由来の生乳のほか、ヤギやヤクなど由来の乳を含む生産量。
(注2)全乳牛飼養頭数に占める、乳牛飼養頭数100頭以上の農家(大規模農家)で飼養される乳牛の割合。大規模農家で飼養される乳牛は1頭当たり乳量が多い傾向にある。
(注3)22年2月に公表された酪農・乳業振興政策の柱となる5カ年計画「乳業競争力向上行動計画」によると、20年の大規模農家飼養頭数割合は67.2%、1頭当たり乳量は8.3トン。当該計画の詳細は、
海外情報「酪農・乳業の競争力強化に向けた5カ年計画を公表(中国)」を参照されたい。