2021/22年度主要穀物の生産状況等の調査結果(第9回)を公表 (ブラジル)
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は6月8日、2021/22年度第9回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した(表、図1〜2)。この調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)や秋植えの冬期作物(第2期作・第3期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。
第2期作トウモロコシ、中西部の一部などで収穫作業が開始
21/22年度(第1〜第3期作)のトウモロコシ生産量は、前回より63万5000トン上方修正され、1億1522万3100トン(前年度比32.3%増)と前年度を大幅に上回ると見込まれている。これは、CONABが統計を取り始めて以来、最大となった19/20年度の記録を更新するものとなる。
全生産量の4分の1弱を占める第1期作トウモロコシは、作付面積の85%(22年5月末時点)で収穫が行われ、生産量は前年度並みの2481万300トン(同0.3%増)と見込まれている。これは、作付面積が前年度より4.3%増加したものの、主産地である南部地域のリオグランデドスル州やパラナ州で、21年11〜12月にかけて深刻な水不足となり単収が大幅に減少したためである。
全体の4分の3強を占める第2期作は、中西部のマットグロッソ州、ゴイアス州、北部のトカンチンス州で収穫が始まった。21/22年度の生産量は、作付面積が前年度比9.7%増と過去最大であるとともに単収が大幅に改善することから、8801万5800トン(同44.9%増)と前年度を大幅に上回ると見込まれている。21/22年度の播種作業は、ほとんどの地域で理想的な期間内に行われたものの、中部の一部地域では4月前後に降水量が急減し、作物の成長が阻害された。また、5月には中部の一部地域で降霜が発生したが、その影響は軽微であった。さらに、南部のパラナ州や中西部のマットグロッソドスル州の一部地域では、害虫(ヨコバイ)の影響が懸念されている。
全生産量の2%程度を占める第3期作については、播種が行われており、堅調な市場価格を背景として作付面積が前年より12.5%増加すると見込まれている。
大豆の収穫作業は終了し、生産量は前年比10.1%減の見込み
21/22年度の大豆の収穫は、作付面積の99.1%(22年5月末時点)で行われ実質的に終了した。大豆生産量は、前回より43万8500トン上方修正されたものの、1億2426万8000トン(前年度比10.1%減)と前年度をかなりの程度下回ると見込まれている。これは、南部各州および中西部のマットグロッソドスル州において、21年11〜12月にかけて深刻な水不足となり、単収が大幅に減少したためである。
大豆需給動向を見ると、2021/22年度の加工量が前回より89万4千トン上方修正され4774万7000トン(同0.7%増)と見込まれている。これは、大豆油や大豆かすの国際価格が高く搾油業者が利益を確保できる状況にあるためで、輸出向けを中心に加工量が増加した。また、大豆輸出量は、国内での加工量の増加などを反映して前回より176万8000トン下方修正され、7523万2000トン(前年度比12.6%減)と見込まれている。
【井田 俊二 令和4年6月21日発】
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