畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 海外情報 > 2022年 > 海外資本による農地保有面積、前年並みで推移(豪州)

海外資本による農地保有面積、前年並みで推移(豪州)

印刷ページ
 豪州国税局(ATO)は2022年6月、最新の農地の外国人保有登録(注1)に関する報告書「Register of Foreign Ownership of Agricultural Land」を公表した。これによると、2021年6月時点で海外資本が豪州国内に保有する農地(注2)(以下「海外資本農地」という)面積は、5298万5000ヘクタール(日本の国土の約1.4倍。前年比0.1%減)と前年並みとなった。一方で、ニューサウスウェールズ州やクイーンズランド州で発生した干ばつと洪水、ビクトリア州などで発生した山火事の影響により、総農地面積が減少したため、全農地面積に占める海外資本農地の割合(以下「海外資本保有割合」という)は14.1%となり、前年から0.3ポイント増加した(表1)。
 
(注1)国税局長(The Commissioner of Taxation)は、水及び農地の外国人保有登録法(Register of Foreign Ownership of Water or Agricultural Land Act 2015)の運用状況を毎年財務大臣に報告するとともに、外国人保有地の統計を公表することが義務付けられている。

(注2)「海外資本農地」とは、(1)豪州に居住していない個人、(2)外国政府または政府系金融機関、(3)豪州に居住していない個人や国外の企業などが20%以上の実質的な株式を有する企業など、(4)豪州に居住していない複数の個人が合計で40%以上の実質的な株式を有する企業など、が保有する第一次産業に現在使用されているまたは合理的に使用されうる土地(5年を超える可能性のあるリースなどを含む)のこと。
表1海外資本農地面積の推移
 海外資本農地の内訳を用途別に見ると、その大部分を占める畜産は4515万9000ヘクタール(前年比0.3%減)と前年並みとなり、依然として豪州の畜産業に対する海外からの関心の高さがうかがえる(表2)。また、用途別のうち、前年と比較して最も増加したのは穀物で、前年比5.2%増の203万6000ヘクタールとなった。
表2用途別海外資本農地面積の推移
 同じく国・地域別で見ると、中国が849万9000ヘクタール(同7.6%減)とかなりの程度減少し、3年連続で1位となったものの、英国の面積が拡大したことで、国別割合の差は0.4ポイントと縮小した。ATOは報告書で、国・地域別海外資本農地の注目すべき動きとして、中国が二つの大規模農地の借地権を売却したことにより、前年から約70万ヘクタール減少した一方で、米国が林業の借地権を拡大したことで17万4000ヘクタール増(同6.3%増)となったことを挙げている(表3)。
表3国・地域別海外資本農地面積上位5カ国の推移
【工藤 理帆 令和4年7月29日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4394